コラム

小説:『借金を完済した直後にあの世に旅立った女性は異世界に転生(4)』

 

前回まで

・『借金を完済した直後にあの世に旅立った女性は異世界に転生(1)

・『借金を完済した直後にあの世に旅立った女性は異世界に転生(2)

・『借金を完済した直後にあの世に旅立った女性は異世界に転生(3)

 

前回からの続き

 

アヤカは食料店に向かった。緑の村ではどのような食材を販売しているのだろうか。

 

 食料店の中は、スーパーマーケットという印象を受けた。現実世界にあるものをそっくりそのまま置き換えている。

 

 アヤカはリンゴをものすごく食べたい気分だったので、果物・野菜コーナーを最初に回ることにした。

 

 リンゴは5個で1ゴールドだった。アヤカは一瞬の迷いもなく、リンゴを買い物かごに入れた。

 

 オレンジは3個で1ゴールド。こちらも食べたい気分なので、購入することにした。

 

 バナナは20本で1ゴールドだった。現実世界においても安い果物は、こちらにおいては価格破壊している。バナナはどこにいっても、安い果物の象徴なんだな。

 

 20本はいらないものの、購入することにした。横で全く同じバナナが10本入りで売られているものの、値段は同じだった。1ゴールドに満たない場合、切り上げという概念で営業しているようだ。

 

  果物だけでなく、野菜も摂取したい。アヤカは野菜コーナーに向かった。

 

 もやしを購入しようかなと思ったものの、800グラムで1ゴールドとなっていた。一人では食べきれそうにないものの、かごに入れることにした。

 

 玉ねぎ、にんじん、じゃがいも、キャベツ、レタス、さやえんどうなどについても量が多かった。全部を買うと、持ち運びに不便だ。

 

 野菜コーナーではもやしとキャベツを購入した。これだけあれば、当分は持つだろう。

 

肉コーナーに向かった。牛肉・鶏肉・豚肉コーナーを買っておきたい。

 

 牛肉は500グラムで2ゴールド。これだけの肉があれば、数日間は持たせることができるのではなかろうか。アヤカはこちらを買い物かごに入れた。

 

 鶏肉は400グラムで1ゴールド。こちらも一つだけ、買い物かごに入れることにした。

 

 豚肉は450グラムで1ゴールド。これも購入しようかなと思った。

 

 次に必要なのは卵である。これなくしては、食事を作るのは難しい。

 

卵は30個で1ゴールドだった。10個くらいでいいんだけど、と思いつつもかごに入れることにした。

 

 コメは20キロで1ゴールドだった。こちらもお買い得ではあるものの、一人暮らしには量が多すぎる。スーパーは家族を想定しているのかなと思った。

 

 パンコーナーに向かうと、食パンが15枚1ゴールドだった。

 

 全部を足し合わせて10ゴールドくらいかな。100ゴールドを持っていれば、7日くらいは持たせることができそうだ。マリアからの情報は、真実だったようだ。

 

 レジに向かおうとしていると、思わぬ人物と出くわした。洞窟の情報をくれたマリアだった。

 

「マリアさんも食料の調達ですか」

 

「はい。夕食を買いに来ました」

 

 肉、野菜などをまんべんなく購入していた。現実世界なら5000円はくだらないところだけど、こちらでは10ゴールドくらいといったところか。

 

「食料はどうしてこんなに安いんですか」

 

「生活必需品だからです。緑の村では、必要なものを安く揃えられます」

 

「一人暮らしには向かないですけど・・・・・・」

 

「そんなことはないですよ。冒険者ならこれくらいはぺろりと平らげます」

 

 大食い選手権かよと突っ込みたくなるも、アヤカは何もいわないことにした。

 

「言い忘れていましたけど、洞窟には1週につき1度しか潜れません。なお、日曜日になると回数がリセットされます」

 

 ちょっと待て。重要すぎる情報を後出しでいわないでくれ。毎日のように洞窟に潜って、お金を稼ぐ計画は水の泡となってしまった。

 

 来週からは敵を倒す数を増やそう。安定した生活を送るためには、ゴールドをたくさん持っていた方がいい。

 

「労働をすれば一時間あたり10ゴールドもらえます。生活は充分にできますよ」

 

 現実世界で過労死したので、職場で働きたくない。洞窟で入手したお金だけで生活したい。 

 

 レジには誰も立っていなかった。どのように会計するのかなと思っていると、マリアに声をかけられた。

 

「セルフレジの上に商品を置くと自動で会計してくれます」

 

 自動でやってくれるなんて夢のようだった。未来的なシステムに感嘆としていた。

 

「12ゴールドになります」

 

 指定された金額を入れると、自動で袋詰めをしている。新しいサービスはありがたいと感じる。

 

文章:陰と陽

 

画像提供元 https://foter.com/f6/photo/6688989961/3a74da45ed/

関連記事

  1. 短編小説:『寝過ごして』
  2. 『スライムを倒して300年、知らない間にレベルMaxになってまし…
  3. ショートショート『大きな世界に飛び込むのを応援する彼女』
  4. 『完訳7つの習慣 人格主義の回復』 スティーブン・R・コヴィー【…
  5. 今、この瞬間を生きましょう。
  6. ショートショート『障碍者の闇』
  7. ショートショート『ある野球女子の栄光と挫折』
  8. ショートショート『幸運をもたらす亡霊』

おすすめ記事

本からノウハウを得よう

本は非常に役に立ちます。読書をしないのはもったいないことこの上ないです。目の前に宝物…

『元の場所』

どんなに遠回りしても… 必ず元の場所に戻る……

『どうすればよかったの?』―誰か教えてこの答えを―

もう分かんないよ…人の気持ちを理解するのって……

大相撲の十両、幕下の入れ替え予想を書いていきます。(2022年11月25日時点)

 大相撲の十両、幕下の入れ替え予想を書いていきます。(2022年11月25日時点)&nbsp…

『自分を守るために…』

嫌で逃げるんじゃない…自分を自分で守るために……

新着記事

PAGE TOP