お酒を飲んで、すっかり帰りが遅くなってしまった。
すっかり人も車も通らない道を、一台のバスが向こうからやってくるのが見えた。
『最終バスだ!』
わたしは足元をふらつかせながらバス停まで走り、そのバスに飛び乗った。
車内は室内灯もつけられておらず真っ暗。
そんな中で、乗客の影がちらほら見える。
座席に座っている人、吊り革に掴まっている人。
わたしは一番前の席に座ると、すぐにウトウトし始めた。
目を覚ますと、窓の外は見覚えのない風景が広がっていた。
かなり寝過ごしてしまったようだ。
すぐに停車ボタンを押して降りると、全く覚えのないバス停だった。
道をとぼとぼと歩いていると、すぐにタクシーが来た。
「助かったよ、バスに乗ったんだけど、だいぶん乗り過ごしちゃったみたいで」
それを聞いた運転手は言った。
「こんな時間にバスは走っていませんよ」
その言葉に時計を見ると、夜中の3時をとっくに回っていた。
あのバスはいったい?あのまま乗っていたらどこへ行っていたのだろう?
文章:百百太郎
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