コラム

ショートショート『室内に滴り落ちる水滴』

 

 雨が降っているわけでもないのに、天井から水滴がポツポツと落ちてきました。冬美は天井を見上げたあと、不可解現象に首をかしげました。

「室内なのに水滴が落ちてくるなんておかしいわ。どうかしたのかしら」

 水の粒は一定のリズムを刻みながら、ポツポツと落ちてきました。水滴は大きくなることもなければ、小さくなることもありませんでした。

 透明な雫は三分後も止まりません。冬美の脳裏に欠陥住宅が頭を過ぎります。一年前に購入したマンションは、悪徳業者によって作られたのかなと考えました。

「このままだと気味が悪いわね。修理業者に見てもらおうかしら」

 修理業者の4文字が引き金となったのか、水滴はピタリとやみます。その後は、一滴たりとも落ちてくることはありませんでした。

 冬美は空を見上げました。室内のはずなのに、どういうわけかができていました。真夏の正午に起こった現象は、大きな変化を予感させるものでした。三〇年後の地球はどうなっているのでしょうか。

 冬美は気づいていませんが、怪奇現象は天使の魔力によって起きていました。人間の反応を楽しむために、ちょっとしたイタズラで楽しんでいたみたいです。

 

文章:陰と陽

 

 

関連記事

  1. カラスカラスって、ミル・マスカラスじゃないよ
  2. 偉大な漫画家、松本零士氏亡くなる
  3. 前野隆司著『実践ポジティブ心理学』のまとめ【第六回】
  4. メジャーのピッチクロックで感じたこと
  5. 生涯一度は読んでおきたいダイアー博士の世界的名著「自分のための人…
  6. ジョナサン・スウィフト『ガリバー旅行記』角川文庫
  7. 猫が可愛い理由?それは、猫だからです
  8. ネジが人を台無しにするとき

おすすめ記事

怖い話『畑の中に佇む女』

GWも過ぎてどんどん暑くなってきますね。寝苦しさも感じられるようになった昨今です…

『報われる瞬間…』―耐えてきてよかったと心が安心する瞬間―

傷ついた瞬間…なんで自分だけ…こんなにも……

世界の国と国旗☆第38回目 ガーナ共和国

皆様こんにちは椎名 夏梨(しいな かりん)です。いつも読んで…

眼鏡濃度について

みなさんは眼鏡濃度という言葉を知っていますか? ほとんどの方がこの言葉を知らないと思…

こんな上司がいる職場は嫌だ!!

職場で「嫌だな~」 「嫌いだな~」と感じる社員は、どこの会社にもいますよね。“苦…

新着記事

PAGE TOP