コラム

中島義道『ウソつきの構造 法と道徳のあいだ』角川新書

 

中島義道『ウソつきの構造 法と道徳のあいだ』角川新書 
 
 
緩やかなリベラル的施策であったものがグローバルに進展した結果、その反動としてポピュリズムが巻き返しを図ってきているのが世界的潮流です。

たとえば、アメリカ大統領のドナルド・トランプ氏は、アイショレーニズム(国内問題優先主義)を唱え、イギリスにおいては、現首相のボリス・ジョンソン氏が、ブレグジット(EU離脱)に賛成し、自国を優先する施策を展開しています。

 

「宇宙船地球号」に乗車する人たちは、肌の色や民族の違いを超えたグローバルな世界観を共有しており、自由よりも平等を志向する傾向が強く働いています。ですから格差是正は国家の果たすべき役割で、こうした考え方を是認するのが先進国の進歩史観と言えます。この地点が現在の到達点だとの認識です。他者を否定的に評価(攻撃)することがタブー視されるゆえ、臭い物に蓋をするような物言いが好まれ、オブラートに包んだ言い回しが良しとされる様相が支配的になってきていることからも明らかです。

こうしたことを、ホンネとタテマエの力関係で捉えなおしてみると、現在のところは、ウソでもいいから綺麗事が語られる傾向が強く作用していると考えられます。

 

話が脱線してしまいましたが、簡単に中島義道氏の新刊を紹介します。

著者はカントの理性主義を援用して、世の中に蔓延る綺麗事を避けることを模索していきます。つまり、普遍的な事実でもって対抗する術を、本書では描き出そうとしています。この試みが成功しているか否かは、皆さまが是非、本書を手に取って確認してみてください。残暑も過ぎ、いよいよ読書の秋がやってきましたね。

 

『もはや真実の言葉とは、各人の心の底から出た言葉ではない。フロイトやラカンの言うように、その多くは検閲にかかって体内に留まり、口から出てくる「真実の言葉」とは、社会的に容認された言葉である。』本書P52より

 

文章:justice

 

関連記事

  1. トマス・ペイン『人間の権利』岩波文庫
  2. キャッシュレスでお金を払ってみた感想
  3. 新型コロナが、5類に移行したが
  4. 短編小説『どっちもどっち』
  5. 芸術、文化を大切にしたい
  6. 『まんがタイムきららフォワード』を読み続けて思うこと
  7. 足が不自由なわたし。
  8. 『プレイボール2』が最終回

おすすめ記事

アレルギーの患者が増加している.

 近年ではアレルギーに悩む人間が増加している。 アレルギーを引き起こす環境由来抗…

落ちても這い上がればいい【大相撲編】

 一度の挫折でクヨクヨしてはいけない。そのように思わされた出来事がある。 照ノ富…

3000系快速急行の減少理由を別の方角から考えてみる

 3000系の快速急行の減少の記事を以前に書きました。今回は違った視点から見ていきた…

十両にあがるためには、どれくらいの成績が必要なのか

出典:Photo credit: Roberto Maxwell on Visualhunt.com…

豊富なプログラムを組んでいる、就労移行支援事業所(工賃も支給)

 今回は就労移行支援事業を行っている、Astage王子センター(東京都北区)について…

新着記事

PAGE TOP