サスペンス・ホラー

怖い話『ちょっと通りますよ』

 

アパートでひとり暮らしの友人の話です。

夏の暑い夜に窓を少し開けて寝ていました。

 

窓の外から何やらボソボソと話し声が聞こえてきました。

 

「ここ、いい感じじゃない?ここにしましょう」

 

友人は寝ボケていると思ってそのまま寝入ろうとしました。

するとまた、

 

「ちょっと通りますよ」

 

と、声がして頭の上を何かがスタスタと通り過ぎる気配がしました。

それでも友人は「ああ、やっぱり俺は寝ボケているのだな・・・」と思って寝入ろうとしました。

ですが、どうも気になって眠れません。

思い切って起き上がり、部屋の中をあちこち調べてみました。

 

すると、お風呂の脱衣かごの中に、

 

猫がいました。

 

友人はその猫に

「おまえ、しゃべれるのか?ここはペット禁止だ。少しの間ならいいが、すぐに出て行ってくれ」と言い残してその夜は寝ました。

しばらく猫にエサを与えていたが、何日かしたらいなくなったそうです。

 

友人は最後にポツリと言いました「その猫、やっぱり全然しゃべらんのよ。あの声は誰やったんやろか?」

 

文章:百百太郎

 

関連記事

関連記事

  1. 怖い話『夜のジョギング』
  2. 怖い話『作業服の男』
  3. 怖い話『下宿』
  4. 怖い話『わたしはここにいる』
  5. 怖い話『お入りください』
  6. 怖い話:『夜中の子供』
  7. 怖い話『誰のお母さん?』
  8. 怖い話『駆け込んできたもの』
PAGE TOP