もう何十年も昔、従兄がまだ幼い頃の出来事。
ある昼下がりにお母さんが一人で、古い写真の整理していた。
それはお母さんの若かりし頃の写真ばかりだ。
従兄が隣でその様子を覗き込んでいたが、ふと一枚の写真を指さして、
「あっ、この人、お爺ちゃんの家で見たことある」
お母さんは「ふーん」と簡単にあしらった。
「この人は、墓参りのときに・・・」
「この人は、親戚の集まりの時にいた」
と従兄は次々と指さす。
その度にお母さんは軽くあしらっていたが、あとで考えたら、指さした人たちは全て、従兄が生まれる前に亡くなった人だったという。
従兄と面識あるわけがないのに・・・。
文章:百百太郎
画像提供元 https://visualhunt.com/f5/photo/23962462842/96c00e3147/