大学時代の話。
夜中、わたしの部屋のドアをたたく者がいました。
ドアを開けると、隣の部屋の友人が、痒み止めの塗り薬を持って立っていました。
「体が痒くて眠れない」
あちこち虫に噛まれて、体中痒いのだそうです。
友人は仲間とチームを組んで、河川敷のグランドで草サッカーをしていました。
グランドは、周辺に茂みが生い茂っていて、蚊がたくさん湧いているような場所です。
茂みの中でボール探ししているときに、よく噛まれるのだそうです。
背中の手の届かない場所に、痒み止めの薬を塗ってほしいとわたしに塗り薬を手渡してきました。
友人は上着をたくし上げ、わたしに背中を向けました。
わたしは塗り薬のキャップを外し、いざ塗ろうと友人の背中を見ました。
わたしの目に飛び込んできたのは、虫に噛まれた痕じゃなく、どう見ても人の歯型でした。
わたしはとりあえず薬を塗ったのですが、効果はあったのでしょうか?
文章:百百太郎
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