サスペンス・ホラー

怖い話『作業服の男』

 

友人と買い物に行った先で、お昼にしようということになりました。

コンビニでカップメンを買い、お湯を入れてもらいました。

食べる場所を探していると、コンビニの入ってるビルの脇に階段を見つけ、

 

「階段で食べよう」

 

わたしたちは人に見られると恥ずかしいと思い、人の見えないところまでと階段を上りはじめました。

3階ぐらいまでくると、黄色いロープが張られていました。

そこには「立入禁止」と書かれた札も下がっていました。

 

- 上に何があるんだろう? -

 

人の気配もなかったこともあり、わたしたちは興味本位でロープをくぐり、さらに上りはじめました。

すると上から作業着の男が降りてきて、

 

「コラッ!中に入ってきちゃイカン!」

と怒鳴りました。

 

わたしたちは引き返し、ロープの外に出ました。

 

「なんだ、工事してただけか、それにしてもあんな言い方しなくてもいいよな」

 

などと不満をいいながら、わたしたちは階段の途中で腰を下ろし、カップメンを食べました。

 

自宅に帰った後、朝方にその場所で飛び降り自殺があったというニュースを見ました。

そこには、あの作業着男の顔写真が載っていました。

 

文章:百百太郎

 

関連記事

  1. 怖い話『あしあと』
  2. 怖い話『二階の子供』
  3. 怖い話『飛んでいるもの』
  4. 怖い話『眠る男』
  5. 怖い話『虫刺され』
  6. 怖い話:『天井の顔』
  7. 怖い話『カーテンの裏の子』
  8. 怖い話『物が無くなる部屋』

おすすめ記事

『重さ』―重さを半々に出来たらいいなー

幸せの重さ…悲しみの重さ…半々だったらいいの…

炎上するのはハートだけで十分

出典:© いらすとや. All Rights Reserved.本当にそういうことですよね?…

知的障碍者が子供を出産することはどうなのか?

インターネットを見ていたときに、知的障碍者が子供を出産したあとに、育てられないという記事を発見しまし…

中井 久夫『治療文化論: 精神医学的再構築の試み』岩波現代文庫

中井 久夫『治療文化論: 精神医学的再構築の試み』本書は1983年に刊行された『…

精神状態が不安定な時に

筆者は、メンタル的な病を患っています。なので、お薬を服用しています。それでもなお、精…

新着記事

PAGE TOP