ものごとは時間の経過と共に収束するため、運の要素は小さくなります。それゆえ、運よりも努力が大事だという考えている人が多数派を占めます。
運の要素は小さくとも、時代の流れは無視できないと思います。タイミングによって、人生は大きな影響を受けます。(コロナが流行しているため、肌身で感じている人は多いのではないでしょうか)
時代の流れを受けた人物として、今回は祖父をあげることにします。彼は美方町で12年間にわたって町長をしていました。
3期にわたって町長を務めた祖父ですが、時代と噛み合っていなければ町長職に就くことはできなかったでしょう。どうしてなのかは下記で説明します。
美方町は市町村合併の流れの中、村岡、香住と合併して香美町となりました。合併前の人口は香住が9000、村岡5000、美方町は3000人くらいとなっています。合併した中で一番人口が少ないです。(香美町になったあとは美方町は小代区、村岡町は村岡区、香住町は香住区といわれています)
香美町選挙には原則として、一番人口の多い香住区、二番目に人口の多い村岡区から一人ずつ立候補します(合併後に村岡区から一人も立候補しないことも過去にありました。小代区からの立候補はまだありません)。小代区出身の祖父は立候補する機会すら得られなかったでしょう。
例外的に選挙に立候補につなげられたとしても、香住区出身ではないため当然を勝ち取るは非常に難しい状況にあります。香住区の住民は政権にたとえると与党的存在(香美町全体の人口の55~60パーセントを占める)で、造反者(棄権者)が現れない限りは村岡、美方出身の町長が誕生することは不可能です。香住区の意向が強く反映された結果となります。
合併後、4回にわたって町長選挙が行われました。一度だけ村岡区出身の町長が誕生したことはあるものの、他については香住区出身の立候補者が勝利を収めています。人口に劇的な変化がなければ、香住区出身の圧倒的優位は揺るぎません。(直近の結果はかなりの差が開いたことから、今後は香住区出身町長が続く可能性もある)
祖父は時代の流れにそぐったからこそ、町長になれたのではないでしょうか。運の要素は限りなく小さいとしても、タイミングは非常に重要な要素です。流れに乗ることが、人生の成功の秘訣といえるでしょう。
文章:陰と陽