コラム

罪を憎んで人を憎まず

出典:© いらすとや. All Rights Reserved.

何も悪いことはしていない?

罪を犯したことがあるか?

そう聞かれれば、恐らく99.8%の人は首を横にふって否定するだろう(残りの0.2%はキリスト教徒)。

何故なら法に触れるようなことは何もしていないからだ。触れていたとしても、スピード違反やちょっとした揉め事で起こった傷害罪、あと借りパク…、ってこれはもう窃盗罪で犯罪を犯しているな。

だが、本当に自分には罪はないと言い切れるのだろうか。

別に地獄の裁判をするつもりはない。誰だって知らないうちに蟻などを踏み殺しているのだから。

どんな人もえげつない話に心動かされる

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どんな人にも嫌いな人はいるし、憎い人もいる。頭の中で何度も苦しめる姿を想像したり、それを望んだ人もいるだろう。

『one-piece』の登場人物、ドフラミンゴの

「人間にはな…どんな人格者でも血を見て興奮する”残虐性”が眠っている‼」

これにはすごく共感した。

確かに人は、無意識に誰かを痛めつけてやりたいと思っている。仮にそれに気付いたとしても、恐怖や罪悪感、人生を棒に振りたくないなどという感情と理性が働き、誰も実行には移さない。

だが、それらがなくなった時、人はどうなる?

最近のニュースや新聞は暗いものばかりだ。今日もアナウンサーの声が聞こえてくる。

「Y県のSさんが、自宅で鋭利な物で胸などを複数箇所刺されて、死亡しているのが発見されました。容疑者は…」

「K県のOさんが自宅の自室で倒れているのが発見されました。首にはロープなどの紐状の物で締め付けられた痕が残っており、第三者による犯行として…」

こんな声が毎日のように聞こえてくる。その度に犯人を憎いと感じるが、同時にこうも思っているのかもしれない。”やった、誰かがやってくれた”と。

あの日に楔は切らていた

歴史を紐解くと、容疑者は場合によっては英雄視される。殆どの被害者が悪者だからだ。

だが、”殺してはならない”は人類にとっては基本中の基本。その栄光は一瞬だけ、超新星のようなものだ。

まあ、中には一生英雄として語られる人物もいるが、命を奪うのはねぇ。

そして何よりも残酷で変だと思うのは、ネットなどで人が死ぬ様子があげられ、多くの人たちがそれを見ていることだ。これはもう一つの意味でも変(事件)だ。

それでも罪の意識がないといえるのは、無意識って怖いという話になってしまう。もしかしたら無意識のうちに喜んでいるのかもしれない。そうすると、ドフラミンゴのあの言葉にも納得できる。

昔の絵画にもよくそんなシーンが描かれてきたのだから、昔から変わっていないということなのかもしれない(宗教画を除く)。

だが昔の人たちは現在とは違って、死は常に傍にあった。メメント・モリ(死を忘れるな)という言葉が生まれるくらい。

それでも誰かの死を描かないといけなかったのだろうか。そうすることで自分に迫りくる死を忘れようとしたのか、それとも完成した絵を自分の部屋に飾って興奮しようとしたのだろうか。

人の死とはそれほどまでに魅力的なのだろうか。分からないから惹かれるのか。それなら納得だ。筆者もミステリーが大好きだから。

さて、もう一度テレビや新聞を見てみよう。そこに映っている容疑者の名前は、本当に何の関係ない人物か。もしかしたらそこに映っているのは自分じゃないだろうか。

本当に、罪を犯したことはないか。

 

文章:ぴえろ

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