コラム

コラム:『これからの医療者』

 

医療者に求められるものが大きく変わってきています。

 

聖職概念がまだ機能していたころは、そもそも治療の実効性よりもある種の権威性が重視されていました。そこではとくに病気が治りはしなくても医療者は清貧を貫きつつ尊敬を集めていました。

 

抗生物質が発見され、治すということが現実的になり始めると、技術的側面が全面にせり出してきます。それとともに、金銭的な要求をするようになり、聖職概念と生活の安定の両方を実現させようといういやらしさが現れ出てきて、だんだんとおかしなことになってきました。

 

現在では、医療者というものを高度な技術者として規定することは、医療者の側からもその外側の一般からも常識となっています。しかし、聖職概念が完璧に崩れ去ったというわけではなく、ある意味で亡霊のように漂っているという側面も否めません。

 

これからの医療はより対人の客商売としての面が一層鮮明になっていくと思われます。

 

AIによる診断など技術面の進歩により、知識や技術において優位性を確保しにくくなることは必至であり、そうなれば何で差がつくかといえば、人間としての信頼性に他なりません。要するに人間としていい先生かどうか、ということです。

 

群馬大学病院の教授先生がパワハラで大問題となり、多くの周りの人が離職したことが話題になりました。権威を振りかざしてやりたい放題することは以前であれば黙認されていましたが、世間の目が厳しくなったことで外部に漏れたり注目されて取り上げられるようになりました。この現象も、医師の人格がまさに問題となっていることのあらわれと言えるでしょう。

 

聖職概念が崩れ去ったことにより、権威が形式的なものとなり、ただいたずらに金儲けばかりに執着するようになってしまいました。

 

ここで注意しなければならないことは、聖職概念を取り戻せばいいということではない、ということです。それは不可能なことであり、あってはならないことでもあるからです。

 

これまでとは全く別のかたちで規範を形成していくことが、これからの医療者には求められるでしょう。

 

 

文章:増何臍阿

 

画像提供元 https://visualhunt.com/f7/photo/6104068209/d134b246f5/

 

関連記事

  1. 歯は虫歯にならなくてもしみる
  2. 定形郵便物とはがきが来年の秋から値上げするかも
  3. 映画『太陽がいっぱい』をご紹介
  4. 芸術、文化を大切にしたい
  5. 広い世界観でものごとを考えるようにしたい
  6. SNSとかいる?って言ったら袋叩きにされそう
  7. 物語の一巻目を簡単に解説! 第九回【ひまわりさん】
  8. 障碍者は常に理不尽を強いられる

おすすめ記事

自分の人生の主人公は自分

自分の人生なのだから、存分に自分のしたい事を思うがままにしてみてはどうでしょうか?…

詩:『私は宇宙』

私は、宇宙とともにあり、宇宙そのものだ。悲し…

『裏切り』

僕は今までどれだけ他人を傷付けてきただろう?僕はこれからどれだけ…

京阪電鉄は2021年1月より3000系プレミアムカーをデビューさせる

 京阪電鉄はプレミアムカーを組み込んだ、3000系を走行させると発表しました。京阪で…

詩:『一番大切な自分』

自分の為になることは、貪欲に何でもしよう。一番大切な自分の為に。…

新着記事

PAGE TOP