家族で温泉旅館に泊まりに行った時のこと。
夜中に突然、額をパーン!と勢いよく叩かれて起こされた。
「何や!」
と起き上がると横で、親父が怖い顔をしていた。
親父が言うには、ふと目を覚ますと、隣で寝ている俺がカっと目を見開いていた。
何度呼びかけても反応がない。
これは、心霊的な何かに取り憑かれようとしていた、というのだ。
古い温泉旅館なので、そういうのもあるかもしれない。
自分はただ寝ているだけだったので、何とも言えないが、何かに憑りつかれようとしていたのは親父のほうなのかもしれない。
あの時、そんな顔をしていた。
文章:百百太郎
画像提供元 https://visualhunt.com/f7/photo/44031272/9736a81664/