出典:『バートン・フィンク』より
はじめに
『バートン・フィンク』(1991)は、コーエン兄弟(イーサン・コーエンとジョエル・コーエン)によるアメリカ映画です。
1991年度のカンヌ国際映画祭でパルム・ドール、監督賞、男優賞を受賞しました。
カンヌの主要三部門を受賞したのは史上初めてのことであり、批評家たちから絶賛されました。
あらすじ
(※結末はふせています)
ブロードウェイで名を挙げた新進気鋭の劇作家バートン・フィンクは、ハリウッドの大手プロダクション「キャピタル映画社」の専属契約のオファーをもらう。
労働者階級の結束を描く劇を書いていたフィンクであったが、まったく専門外のレスリング映画の脚本を書くように言われる。
筆が進まずスランプに陥るフィンク。宿泊するホテルは異様なまでの蒸し暑さで、部屋の壁紙が暑さで剥がれ落ちてくるほど。
隣室の笑い声が気になってフロントに苦情を言うと、笑い声の主が謝りに来る。
チャーリーというその男は、巨漢の保険外交員であった。
フィンクは、助言をもらうため先輩作家のメイヒューのもとを訪れる。
メイヒューを尊敬していたフィンクであったが、酔っぱらって秘書のオードリーに暴力を振るうメイヒューに失望する。
締め切りに追われるフィンクは、オードリーに助けを求める。オードリーはメイヒューのゴーストライターのような役割をも果たしていたからだ。
映画のストーリーについて話している途中、突如オードリーに誘惑されベッドを共にしてしまうフィンク。翌朝目覚めると、横には殺害されたオードリーの無残な姿が…
みどころ
チャーリーから預かった包みの中身は何なのか? 海辺の女性は誰なのか?
などなど、多くの疑問を抱かせる、謎の多い本作。
隠喩や寓意に満ちており、多様な読みを許す懐の深さがある映画です。
映画社の社長など、脇役のキャラも非常に魅力的。
観る者のイメージを大きくふくらませてくれる作品なので、映画を観終わってあれこれ考えたりするのが好きな方には、とてもおススメできる作品です。
文章:増何臍阿