朝から晩まで働いていたころの話だが
深夜、腹を空かせて海苔弁当を買って帰る
明かりを点け、冷え切った自室を温めるために
エアコンのスイッチを入れる
電子レンジに海苔弁当を入れて温める
かじかむ手で湯を沸かし、ティーバッグ式の茶を湯飲みに入れる
電子レンジが鳴り、海苔弁当を取り出す
疲労困憊で、寒さと眠気と空腹がないまぜの気持ちのまま
着替えもせずに箸を持ち海苔のかかった米飯に箸を突き立てる
白い暖かな湯気が立ち上がる
ザクッと白身フライを噛む瞬間
タルタルソースの甘味が口の中を広がり
恍惚とした気分になる
急いで米飯を掻き込む
濃い味付けが疲労を吹き飛ばしてくれる気がして
食欲にまかせたまま次から次へ箸を口へ運ぶ
メインディッシュは熱々の白身魚のフライだ
ちくわの磯辺揚げ、オカカの混じった飯、きんぴらの和え物
飲み込むように弁当を平らげる
流し込むように湯飲みの茶を飲む。
弁当の空き容器もそのままにごろりと横になる
部屋も体も暖まってきて、食欲が満たされ、眠気に吸い込まれるがまま
泥のように眠る
時間は深夜1時。明日は朝6時出勤の日々
その日暮らしでも食欲を満たして休息と睡眠さえ取れれば
それで満足だった
文章:drachan
画像提供元 https://www.pexels.com/ja-jp/photo/6148367/