コラム

危険や罠の分類について

 

人生、いろんな危険や罠があるなぁと感じます。

あるいは、危険や罠というほどでなくても、ちょっとした損をしたりあてが外れたりということは皆さん経験されていらっしゃると思います。

 

そんなときに、なぜそうなった?とひとは考えます。

 

考えられることとして、ひとつは情報収集の不足があります。

 

新しい技術の登場で既存のものが陳腐化し、仕事が無くなってしまう。

制度改正で根本的に環境やルールが変わってしまうことに気づかず対応が遅れてしまう。

あるいは、上記のような「変化」ではなく、ある業界なりコミュニティなりにおける「常識」を知らずに失敗してしまう、といったこと。

こうしたことは、普段からニュースに触れて常に自分の知識や感覚をアップデートするとともに、それをふまえて日々の行動を修正することで、対処することができます。

 

他方で、これとはまったく異なる原因があります。

 

ある行動に誘導されて、当初考えていたようには事が進まず、結果として損をしてしまうという場合です。

 

これは、広い意味で考えていただきたいのですが、「だまし」によるものということです。

 

この「だまし」には刑法上の詐欺罪を構成するものから、日常のなかで友人をちょっと驚かせようとするものまで、幅広くあります。

 

実際そうであるところのものや状態を、それとは異なるものや状態に見せかけ、大なり小なり相手に損をさせて自らが利益を得る。そうしたことです。

 

第一のものとして挙げた「情報不足」による損失は、努力を怠ったことが原因であり、第二のものとして挙げた「だまし」による損失は、努力の有無とは無関係であり自分には非がありません。

 

ここで問題となる事柄が二つあります。

 

ひとつは、第一と第二とは、峻別することが可能なのか。

すなわち、あらゆるものがこれは第一、あれは第二というふうに、はっきりと分けること

が果たしてできるのだろうか? という問題です。

 

もうひとつは、第一でも第二でもない、第三が存在するのではないか、という問題です。

 

これは、上の事柄、すなわち第一と第二が峻別可能なのかという問題と深い関わりを持っています。そのことを下で示します。

 

第三として考えられるものはどういったものなのでしょうか。

 

ひとつ具体的な事例を挙げましょう。

たとえば、自宅近くに工場があって、人体に悪影響を及ぼす何らかの物質を取り扱っている。工場の経営母体は、そのことを把握しながら事実の公表をせず対策を怠り、数十年の時を経て、工場周辺の住民や工場の従業員・元従業員たちが健康被害を訴える。

 

こうした事例を考えてみると、事実の隠匿により危険や罠を知ることができず、結果それを回避できずに損害をこうむるというわけで、「情報収集の努力」によってなんとかなるわけではないし、何らかの行動に誘導されて予想しない結果になり、それによって誰かが「利益」を得たわけではなく、「だまし」にあたるものではありません。

 

ただ、事実の公表による結果を恐れて隠匿したことは、周辺住民や従業員に何らかの行動へと誘導したわけではないものの、ある行動の惹起の芽をつぶす(訴訟など)という意味で、行動の変容をもたらすものという点で同根であり、また、事実公表による結果(恐らくは企業に損害をもたらす)という「損」を回避するという「利益」を得たのだ、と言えないこともないかもしれません。

 

第三の類型というものを画定することは至難であるのかもしれません。

 

上記の事例でいえば、第二に入れることも100%無理ではないというだけでなく、第一に入れることも絶対不可能なのかといえば、そうとも言えないのです。

というのは、工場がどんな物質を扱っているのか完全に知り得ないわけではなく、何らかの手段で知ることができるような場合、それは完全に秘匿されているわけではなく、またその物質が適切に取り扱われているかどうか、これに関しても中の人と接触して情報を取りに行ったりして不安要素があるならば、完全に危険を察知できる余地が無かった、とまではいえないかもしれないからです。

 

そもそも危険や罠を分類しようとした動機は何だったのでしょう?

 

それはなによりも、危険や罠を察知して嫌な目に遭ったり損害を受けることを回避するために、まずはそれらの原因を分析し、類型化を行うことで対処していこうということです。

 

危機察知のために、情報の収集と分析を怠ることなく、また、他者の思惑に踊らされない確固とした自己を持つということが重要です。

 

文章:Noche

 

画像提供元 https://foter.com/f7/photo/50167281471/6ed94638ba/

 

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