エンタメ

【おすすめ】『推手』(1991)台湾・米国合作【必見です!】

 

『推手(すいしゅ)』アン・リー監督作品の紹介!

 

『推手』はアン・リー(李安)の監督デビュー作。

アン・リーは、アカデミー監督賞を二回、ゴールデングローブ賞 監督賞を二回受賞した台湾出身の映画監督です。

 

 

あらすじ

 

太極拳師範の朱老人は、息子夫婦とニューヨークで共に暮らしている。

息子は父のためを想い同居を選んだが、白人で作家である妻マーサは、言語も通じず執筆の邪魔になる朱老人を疎ましく感じている。

朱老人は太極拳を教えることだけが生きがいとなっている。

 

マーサが過度なストレスから入院を余儀なくされ、息子は父を老人ホームに入れることを考えはじめる。そして朱老人がある日姿を消してしまい…..

 

みどころ

 

この映画では、米国と中国の文化の違い世代間の相克家族観のすれ違いを見事に描いています。

 

コンピュータを学びアメリカで成功した息子は、家族を大切にする中国の価値観を失っておらず父を呼び寄せるのですが、アングロサクソンのアメリカ人である妻は、べたべたしない自由な親子関係を築く家族観を持つがために、義理の父である朱老人とうまくやっていくことができません。

 

 

朱老人のほうも、疎まれるがゆえに嫁と良い関係を結べず、太極拳だけが安らぎになっています。

 

「推手」と呼ばれるものの達人である朱老人が、料理教室で力を発揮してしまい迷惑をかけたり、中華料理店の皿洗いのバイトとして雇われたときにオーナーにぶちぎれて高い武闘力を見せるところなど、痛快なシーンもあります。

 

異なる国の文化の違いや相克を、安易な解決策を提示することではなく、それをありのままに表現することで、お互いの歩み寄りや思いやりが大事なんだ、ということを改めて感じさせる、強い説得性を持った内容になっています。

 

タイトルとなっている「推手」は、相手の体のバランスを利用して自分の安定を保つ太極拳の技のようです。

無理に押したり、または押し返したりするのではなく、持ちつ持たれつの互いの関係を維持していくことを示唆しています。

 

また、朱老人を演じるラン・シャンのシュッとした身のこなしと、それと裏腹なコミカルさのある演技とが絶妙な面白さを醸し出しています。

 

さいごに

 

アイデンティティの問題や世代間交流、異文化コミュニケーションといった枠組みで安易に逃げないところに非常に好感のもてる作品です。

 

家族の問題を扱うにしても、深刻になりすぎずに、ほのかな希望も感じさせるのがとてもいいです。

 

どう「老い」ていくか、といった、「老いの哲学」を考えるうえでも、すごく参考になるところがあると感じました。

 

ぜひ観ていただきたい作品です。

 

文章:parrhesia

関連記事

  1. A型作業所に通いながら、日商簿記3級を取ってみた!!
  2. 著者の謎を解いてくれ
  3. タクシーの年齢条件変更について
  4. 自分の作品を紹介するぜ!
  5. セロトニン
  6. 内省できること
  7. 快適な生活を送るために
  8. ひたすらに書く!

おすすめ記事

色心不二

これは、仏語で、色法(物質・肉体面の働き)と心法(心の働き)が、一見、二つの別のものであるよ…

パートナー、心を寄せられる人が一人ずついればいい(障碍者向け)

 障碍者に限らず、友達をたくさん作ろうとする人がいます。100、200人と数を自慢す…

藤井聡太さんが史上最年少五冠を達成

 藤井聡太さんが史上最年少五冠を達成 藤井聡太さんは王将戦の第4…

気持ちよく働ければ仕事は長続きする

『気持ちよく働ければ仕事は長続きする』体力よりも気持ちが大事…

『JR岐阜駅』の周辺観光散策案内

「JR岐阜駅」の周辺散策案内 岐阜市は長良川のほとりの都市で、川…

新着記事

PAGE TOP