常見陽平『僕たちはガンダムのジムである』
所謂、一般人が企業社会で生き抜くための戦略を講じた本とも言えます。
「ジム」とは、アニメ『機動戦士ガンダム』で登場する量産型のモビルスーツで、ジムをその他大勢の人間として見立て、その位置から生き抜くための戦略を考えていく内容になっています。
「競争社会を勝ち抜くためには、経済合理的なエコノミックアニマルたる人間に自らを改造していかなければならない。」「一人ひとりがリーダーたる自覚を持ち、組織を牽引していかなければならない」とするのが、企業で生き残る術だといわれますが、著者はそうした考えに与しません。
本書においては、むしろ、一人ひとりが「ジム」である自覚を持った上で、自分なりのライフワークの在り方を模索するようにと誘っています。
「オレはガンダムになるために、まだまだ頑張らないと落ちこぼれてしまう」というような強迫観念に陥っているのであれば、本書を読むことによって、そうした生き方以外にも別の道もあるということに気づくのかも知れません。
本書の末尾に、著者から読書へ向けての問い掛けの言葉が、アニメの予告編で毎回流れていたお馴染みのメッセージで締めくくられていました。
『君は生き延びることができるのか?』
文章:justice