木下 武男『労働組合とは何か』
日本では労働組合の運動が縮小傾向にあり、衰退の道を歩んでいますが、本書によるとこうした傾向は人為的な力が作用しているようです。
このことを解き明かした上、時代の変化に即した労働組合を構築していくために書かれたのが本書の位置づけです。
凡そ、日本の労働争議の場においては「企業別労働組合」と言う異種の組合形態に侵食されたため、本来の在るべき姿である「産業別労働組合」が実践されるに至りませんでした。つまり、年功序列・終身雇用と言うような、労使が共同で敷いた形態が主流となり、現在においても労働組合は形骸化しています。
これまでの日本の労働形態は正社員主体でした。ですが、派遣業務が解禁された頃より労働形態が様変わりし、現在では非正規雇用が全労働者の4割を占めるに激変しました。
結論だけを先に言えば、本書では「産業別労働組合」が社会に根付くことの必要性を説いています。
庶民が左右の対立軸で分断され、孤立化を深める中、既得権益に対抗する術を学ぶための戦略が詰まった書籍です。
一人でも多くの人に知ってほしいと思えるような内容が、本書にはぎっしりと詰まっています。
文章:justice