サスペンス・ホラー

怖い話『夜中の路線バス』

 

お酒を飲んで、すっかり帰りが遅くなってしまった。

すっかり人も車も通らない道を、一台のバスが向こうからやってくるのが見えた。

 

『最終バスだ!』

 

わたしは足元をふらつかせながらバス停まで走り、そのバスに飛び乗った。

 

車内は室内灯もつけられておらず真っ暗。

そんな中で、乗客の影がちらほら見える。

座席に座っている人、吊り革に掴まっている人。

 

わたしは一番前の席に座ると、すぐにウトウトし始めた。

 

目を覚ますと、窓の外は見覚えのない風景が広がっていた。

かなり寝過ごしてしまったようだ。

 

すぐに停車ボタンを押して降りると、全く覚えのないバス停だった。

道をとぼとぼと歩いていると、すぐにタクシーが来た。

 

「助かったよ、バスに乗ったんだけど、だいぶん乗り過ごしちゃったみたいで」

 

それを聞いた運転手は言った。

 

「こんな時間にバスは走っていませんよ」

 

その言葉に時計を見ると、夜中の3時をとっくに回っていた。

 

あのバスはいったい?あのまま乗っていたらどこへ行っていたのだろう?

 

文章:百百太郎

 

画像提供元 https://visualhunt.com/f5/photo/47962191967/c916cf0a19/

関連記事

  1. 怖い話『終着駅』
  2. 怖い話『もうひとりいたはず』
  3. 怖い話『砂山』
  4. 怖い話『おまえの母ちゃん・・・』
  5. 怖い話『かまくら』
  6. 怖い話『下宿』
  7. 怖い話:『海底の人影』
  8. 怖い話『入れ違いの女の子』

おすすめ記事

相撲界(行司も含む)の厳しい縦社会

 大相撲初場所が開催され、力士(関取)が土俵で奮闘している。 相撲界は厳しい縦社…

怖い話:『誰かに呼ばれた』

夏に大学の合宿で、長野の温泉地に行った時のこと。宿に着くと早速、全員で近くの川沿いの散策に出…

『たくさんの思い出』―新たな道に進むために羽ばたこうー

今までたくさんの事を…教えてくれありがとう。…

欠点を誇りに思う考え方

 日本では欠点を直せ、修正しろという教育をなされる。事実、個性は消され、クローン人間…

正論よりも生きたいように生きる

 正論なんてどうだっていいから、僕、私は自分のやりたいように生きたい。そのような考え…

新着記事

PAGE TOP