サスペンス・ホラー

怖い話『見ていたのは同じ人?』

 

たった一駅なのですが、通学で電車を利用していました。

毎朝、通勤通学ラッシュでいつも満員、ドアに挟まれないように乗り込むのがやっとです。

 

ある時、ぎゅうぎゅう詰めの車内から何気に外の風景を見ていると、線路横の道路を自転車で移動しているサラリーマン風の男がいました。

その人はわたしと目が合うと、電車と競争するかのように必死で自転車をこいで追いかけてきました。

当然追いつけるわけがなく、やがてその人は見えなくなっていきました。

 

  • なにいまの? -

 

わたしは駅に降り立つと、人波の前方に同じクラスの友人が歩いているのを見つけました。

友人に追いつき、

 

「さっき自転車に乗った変な人いたよ」

 

と言うと友人も

 

「ああ、俺も見た」

 

わたしたちはしばらくその事で、笑い合いながら歩いていました。

 

「ちょっと待って・・・」

 

友人は突然立ち止まり、しばらく考えてから言いました。

 

「俺は左側の窓にいたのに、なんで右側の窓にいたお前も同じ人を見てるんだ?」

 

文章:百百太郎

 

画像提供元 https://visualhunt.com/f5/photo/14721967969/773da0500e/

関連記事

  1. 怖い話:『助けられた?』
  2. 怖い話『真夏のサンタクロース』
  3. 怖い話『もうちょっとだったのに』
  4. 怖い話:『向かいのマンション』
  5. 怖い話:『止まらないタクシー』
  6. 怖い話『ガラス越しのポスター』
  7. 怖い話『虫刺され』
  8. 怖い話『自動』

おすすめ記事

広井良則『持続可能な医療─超高齢化時代の科学・公共性・死生観』(ちくま新書):ケアを考えるシリーズ1作目

伏線としての「定常化社会」高度成長を経た社会では、経済成長がなくても豊かな社会を構築できると考え…

『行動と心は時に違う』―心には正直でありたい―

誰にでも死は突然訪れる。友人と楽しんだ思い出も……

『希望が消える!?』―夢のために人は、努力を惜しまない―

ときどき…自分の夢が…何なのかわからなくなる…

『流れ星』―かなわない願い事もある―

幼い頃…流れ星が流れて…消えるまでに…&…

職場で適応障害を発症する人が増えている

 適応障碍はなじみのない病気だと思いますが、仕事勤めをしている社会人の間で増加傾向に…

新着記事

PAGE TOP