わたしが小学6年生の時のこと。
わたしたちの教室は校舎の3階にあります。
3階は普段使用されているのは、わたしたちの教室だけで、あとは使われていない空き教室や家庭科室、音楽室があるだけです。
授業中、わたしの隣の生徒が、トイレに行きたいと席を立ちました。
用を済ませて戻ってきたその子は、わたしに
「何かあった?」
と聞いてきました。
「いや、なにも・・・」
と答えると、
「廊下に血が落ちていたから」
校舎の端のトイレで用を済まし、廊下を戻っていると、血が点々と落ちていたというのです。
授業が終わって、一緒に廊下へ見に行くと、血などありません。
わたしたちの様子を変に思った先生が声を掛けてきたので、事情を話すと。
先生は数年前に家庭科室で、ミシンの針を指に刺してしまい、血を滴らせながら保健室へ向かった生徒がいたことを話してくれました。
時空にゆがみが発生して、
「知らずにその時の廊下を歩いていたんだな」
と、先生は言いました。
文章:百百太郎
画像提供元 https://visualhunt.com/f5/photo/14731333869/2bbd2085cd/