わたしが幼かった頃の話です。
その時、わたしは公園の砂場でひとり、砂山を作って遊んでしました。
途中から、それに気づいた友人も参加しました。
わたしたちは、それまでにない大きな砂山を完成させました。
普通に立つと、お互いの姿が確認できないほどです。
わたしたちは、それにトンネルを掘ることにしました。
ひとりではトンネルを開通させるのは到底無理、ふたりでももしかしたら手が届かないかもしれないと思いながら、トンネル掘りをしました。
両側からどんどんトンネルを掘り進めていくと、やがて友人の手に触れました。
そしてお互いにがっちりと掴みあいました。
「開通だ!」
と、砂山の反対側へ回って見ると、そこに友人の姿はありませんでした。
友人はお兄さんが缶ジュースを飲んでいるのを見つけ、途中でトンネル掘りを投げだし、そちらへ行ってしまっていたのでした。
あの時、砂の中でわたしと掴みあった手は、誰の手だったのでしょうか?
文章:百百太郎
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