体全体の健康のために、「歯科検診について」の解説をします。歯や歯茎の健康は、呼吸や食事や発声に関係し、胃や腸だけでなく体の隅々の健康に関わるだけでなく、生活の質(ライフオブクオリティー)を左右します。
まず歯科検診の費用です。健康保険は適用されませんが、2000円~10000円前後で受けられます。人によって、検診の項目が変わるので費用が前後します。検診によって、問題が見つかり治療となれば、治療には保険が適用されます。少し高いように感じますが、歯や歯茎が健康になれば、体全体が健康になり、命に関わる病気の予防にもなり、長い目で見れば経済的です。
検診では、歯や歯茎の状態や歯の数や噛み合わせや、虫歯や歯垢や歯石の有無を検査確認し、専門器具を使ったクリーニングをしてくれます。この後に、歯科医師がディスプレイを使って分かりやすく、今の状態を説明してくれ、疑問に思ったことがあれば、質問すれば答えてくれるので聞いてみましょう。
この時に、歯の磨き方の評価や磨き方の改善点や歯周病の有無と、患者が自覚していないことが多い初期虫歯があれば、指摘してくれます。初期虫歯とは、歯のエナメル質を構成しているリン酸カルシウムが溶け出すことで、痛みがなく、歯科医師でなければなかなか気が付かない歯の見た目の変化しかありません。
初期虫歯であれば、歯磨きや専門器具による『PMTC』やフッ素塗布やシーラント(歯科用プラスチック)充填等の、1回~3回ほどの短時間の治療で治すことが出来ます。(最後は治療効果の確認なので実質1回~2回)
歯周病は、成人の70%~80%が罹っている感染症で自覚しにくい病気なので、専門家の診断と予防対策は大変重要です。歯周病の原因菌は、何百種類とあり口の中の原因菌だけを殺菌することは不可能なので、予防と言いますが、死ぬまで対処療法を続けるというのが現実です。しかし、予防をしなければ、確実に寿命が縮まり死ぬより辛い障害の出る病気の原因になります。
歯周病が原因・影響する疾患等
歯周病菌を放置すると、毒素を出し歯茎に炎症を引き起こします。歯周病菌は、炎症した所から血管内に入ります。血管に入った歯周病菌は、免疫によって死にますが、死んでも病原菌内にあった毒素が全身に回って健康に害をあたえます。
毒素が、肝臓や腎臓等にダメージを加え、インスリンの効きを悪くし、血糖値を上げ糖尿病の危険を高め、肥満やメタボリックシンドロームになり易くなります。
歯周病菌によって血管の中に血栓の素が出来て、血流を阻害し血圧を高めます。血栓の素が血管を流れて心臓で詰まると、心筋梗塞に脳で詰まると脳梗塞の原因になります。
高齢者の誤嚥性肺炎も、むせて歯周病菌が肺に入り、炎症を起こすことが原因の一つです。敗血病によるショック死の原因にもなります。
歯周病により、出来た歯と歯茎の隙間に出来た歯周ポケットに、ピロリ菌やその近縁のキャンピロバクターによって、胃潰瘍や胃がんになるリスクが高まります。
無料で歯科検診をうけるのには
住んでいる市や町等地方自治体が行う歯科検診を利用すると、無料で検診を受けることが出来ます。案内はがき等で、無料検診のお知らせが届くので、それを読んで利用できる歯科医に電話予約をして、案内はがき等と保険証を持って行くだけで、簡単に検診が受けられます。
無料検診後に、デンタルフロスや歯磨きがもらえる歯科医院もあり、その後、有料の定期検診を受けると、その都度、歯のホワイトニングを、無料でしてくれる所もあります。ホワイトニングだけでも、10000円~50000円ぐらいするのでこれはかなりお得です。
文章:北山南河
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