オリンピックのマラソン、競歩などの一部競技の開催地変更が話題になっている。IOC(国際オリンピック委員会)は、東京から日本で最北端に位置する北海道開催へと移行しようとしている。決定していないものの、IOCの会長の発言からしてほぼ決定的といえよう。
開催地変更の理由は選手の体調を優先するため。東京は真夏になると最高気温が35度を超える。ランナーにとって極悪のコンディションの中、42.195キロもの距離を走り続けると、代表選手の健康に危険が迫る。最悪の場合、死者が出ることもありえる。
選手の健康管理は一理あると思うけど、北海道開催をランナーが望んでいるとは限らない。実際に走るランナーの意向を、最優先にすべきではなかろうか。
代表選手の意向を汲んでいないのだとすれば、変更しなくてもよいかなと思う。選手の意思を尊重することこそが、最大の「選手ファースト」ではなかろうか。
今回の開催地変更は、未来の選手に大きな心理的不安をもたらす。前例ができてしまうと、今後も同じことが起きないとは限らない。今回は国内変更にとどまっているものの、次回からは国外で行う可能性も否めない。コロコロと走行ルートが変更されるようになれば、選手は本番を迎えるまで、不安を抱えながら練習に取り組む必要がある。完走するためには体力も必要だが、強靭なメンタルも大切だ。
地球温暖化の影響によって、開催できない場所は増えていく。最終的にはマラソン、競歩などの競技がなくなることも懸念される。
物議を醸した今回の発表。マラソン、競歩などの陸上競技の未来を暗に示しているのかもしれない。
https://www.asahi.com/articles/ASMBJ64YMMBJUTQP01S.html
©東京五輪のマラソン、札幌で開催か IOCが猛暑を懸念 – 東京オリンピック:朝日新聞デジタル
文章:陰と陽