サスペンス・ホラー

怖い話『キュクロプスの夜』

 

昨夜も嫌な夢を見た。

ひとつ目の大男が何か棒のようなものを持って追いかけてくる夢だ。

神戸の地下街らしき場所を歩いていたら、ソフトクリームをなめる大男と目が合ってしまったのが運の尽きである。

大男は残りのソフトクリームをペロッとたいらげると、近くに落ちていた棒のようなものを手にしてこちらを睨みつけてくる。

ひとつしかない目が急速に赤みを帯びはじめたかと思うと、次の瞬間、こちらに向かって
ダッシュしてきた。

あわてふためいて、一心不乱に逃げて逃げて逃げる。

いつのまにか地上に出ていて、あたりは波止場になっていた。

逃げ場が無くなった。後ろからは大男が追いかけてくる。

唸り声をあげて大男が覆いかぶさってきたところで、目が覚めた。

汗でぐっしょりだ。
とんでもない悪夢だった。

それから数カ月たった。あの悪夢も完全に忘れ去っていた。

野暮用を終えて夜の神戸の街をふらついていた。
雨が降ってきたので、地下街に逃げ込んだ。

いやに人影のまばらな区域を歩く。コツコツという自分の靴音が高く響く。
靴音が反響して自分以外の靴音がするような気がしてくる。

 

なにかがおかしい。
反響音ではない、他人の靴音がした。しかし誰もいない。

と、後方から人影がながくのびてきた。

わたしは後ろを振り向いた。

ひとつ目の大男が笑っていた。

文章:増何臍阿

 

画像提供元 https://visualhunt.com/f7/photo/7280261474/dc804f25ee/

関連記事

  1. 怖い話『もう少し先へ』
  2. 『罪』
  3. 怖い話『手伝ってくれた人』
  4. 怖い話『友達を呼んでいる』
  5. 怖い話『姉の留守番』
  6. 怖い話『わたしも食べたい』
  7. 怖い話『押し入れにいたもの』
  8. 怖い話『二階の子供』

おすすめ記事

スキー場の63パーセントは赤字経営

 スキー人口は年々減少し、昨年度は25年前の3分の1以下まで落ち込んだ。  スキ…

『この世に不幸がある限り』

この世に不幸がある限り、この世に苦悩がある限り、…

年末にソバを食べる理由

 日本では年越し蕎麦を食べる習慣がある。文化として根付いたのは江戸時代であるといわれ…

特別支援学校に通うメリットとデメリット

  障碍者にとって「支援学校」、「一般学校」にどちらに通うのがいいのだろうか。特…

『火の鳥』と『浦島太郎』読んでこい

出典:© いらすとや. All Rights Reserved.不老長寿ならまだいい「不…

新着記事

PAGE TOP