1年遅れで高校の友人が大学へ入学し、同じアパートに入居してきた。
入居当日、友人の部屋は布団や机があるだけでまだガラガラの状態だ。
わたしの部屋で一緒にコタツに入り、これからの大学生活について軽く話をした。
これから物が増えていくこと、取るべき科目、単位取得が難しい科目、サークルのことなど。
そんな中で、このアパートにまつわる怪談についても話をした。
夜中に勝手に電気がついていた、窓に白い着物の女の影が浮かんでいた。
そして、その部屋がおまえの部屋だと。
もちろん冗談である。
やがて夜も遅くなり、友人は自分の部屋へ戻っていった。
夜中、寝入っているところに電話が鳴った。
友人からだった。
「どうもこの部屋おかしいよ」
と言う。
さっきの怪談話を気にしていると思ったわたしは
「さっきの話はウソだから」
と説明したが
「すぐ来てよ、頼むよ」
「こっちに布団もってきて俺の部屋で寝りゃいいじゃん」
「そっちが来てよ」
「なんでよ?」
そんなやりとりをしばらくして電話を切った。
そして翌朝、友人に
「夜中に電話してくるなよ」
と、文句を言うと、友人は浮かない顔をしていった。
「俺の部屋、電話ないよ。工事来るの今日だし・・・」
文章:百百太郎
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