人生

「しけてんな」、の効用

 

「しけてんな」、が口癖の友人がいました。

といっても文句垂れというわけではなく、なごむ感じの物の言い方でした。

なにか、世の中のたいていのことはしけている、ということを常々確認しているような感じでした。

 

時と場所はかわってとあるミニコンサートに行ったときのこと。

 

出演した音楽家は超有名アーティストとかではなく、実力ある演奏家を多く育ててきた、実績ある指導者でした。

 

ミニコンサートなので、客は二十人足らず。

 

そんななか、わたしの前に座っていた若い女性が、ぽつりとつぶやいていました。

「最近、うるおいないわ」

 

今このコンサートが潤いじゃないか!と、それを聞いたときはちょっと憤慨したりしました。

 

しかし、うるおいなんてもんはそうそうない、たいていのことはしけているのだ、と考えれば、そんな発言に怒るというのもヤボなことです。

 

 

「なにかいいことないかな」なんてつぶやいたり、あるいは誰かがそうつぶやくのを聞くのは本当によくあることです。わたしもありますし、あなたもたぶんあるでしょう。

 

でも、そんなのはあまり意味がないことです。

 

人生は、ほうっておくとどんどん悪いほうへと深みに入り込んでしまいかねないところがあり、それは、つまるところ死が避けられないことにつながっています。

 

人生が涙の谷であり、楽しい幕間がちょろちょろと顔を出すものだというのは、否定できません。

 

しかし、どんなに悲惨なことがおきても上を向いて明日を生きることができるのが、人間の強さであり普遍的なあり方です。

 

しけてんな、という確認は、実のところ生きていくうえで役に立つ捉え方なのではないでしょうか。

 

 

文章:parrhesia

 

画像提供元 https://visualhunt.com/f7/photo/49109302951/91bc200ebf/

 

関連記事

  1. 大きな心で
  2. 主張の強い者は他人の感情を粗末に扱う
  3. あなたと働いているのはクラッシャー上司かも
  4. 悪口ばかり話す人から逃げよう
  5. 個性の強い障碍者に読んでほしい、志村けんの名言
  6. 病によりて道心はおこり候なり
  7. 【恋愛関係コラム】「彼と彼女」悪いのはどっち?
  8. ストーカーをやめられない男の心理

おすすめ記事

藤井聡太さんが史上最年少の三冠達成

 藤井聡太さんは、叡王戦の第五戦に勝利しました。このことにより、叡王のタイトルを奪取…

大相撲の新弟子基準及び付け出し資格が変更

大相撲では新弟子の基準、付け出し資格が変更になります。どのように変わっていくのかを書いていきます。…

年金制度の将来を案ずる

 現在は年金が65歳から支給される。63歳の人はあと2年で年金を手にすることができる…

無添加の飲むヨーグルトは甘くない

 近所のスーパーにて、無添加の「飲むヨーグルト」を購入してみました。(添加物を使用し…

本を安く手に入れる方法

 本を安く手に入れる方法は当たり前の様ですが、古書店、古本屋で買う事です。 古書…

新着記事

PAGE TOP