小学生高学年の時、仲間たちと川辺のグランドで遊んでいると突然、激しい雨が降り出した。
雨の中、みんなで雨宿りできる場所を探して堤防の道を走っていると、
「おーい!」
と声がした。
見ると、堤防下にある家の2階の窓から、自分たちと同じくらいの年頃の子がふたり、こちらに向かって手を振っているのが見えた。
「こいよー、一緒に遊ぼうー」
と叫んでいる。
わたしは行ってもいいかな、という気になっていたが、他のみんなは雨音で聞こえていないのか気づかずに走っている。
ようやく倉庫の軒下で一息ついた時にわたしは、
「さっき男の子が手振りながら呼んでたけど、あっこで雨宿りさせてもらってもよかったのに」
というと、
「あの家、ずっと空き家だぞ。人がいるわけないやん」
とみんなは口々にいう。
そう言われて、気のせいだったのかな?と思うようになっているところに、一人の友人がそっと私のそばに来て言った。
「それ、俺も見えたよ」
文章:百百太郎
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