サスペンス・ホラー

怖い話『エレベーターの先客』

 

買い物帰りにバッタリ会った友人に「お茶していけよ」と誘われ、友人の住むマンションに立ち寄った時のこと。

上昇してきたエレベーターに乗り込むと、先客がいました。

 

友人の部屋は7階だという。

友人は一旦は7階のボタンを押したものの、なぜかすぐに途中の階を慌てて押し、

 

「いったん降りるぞ」

 

と言いました。

わたしは理由がわからないまま、友人に腕を引っ張られてエレベーターを降りました。

振り返ると、先客の人もそんなやり取りをするわたし達を不思議そうにジーッと見つめています。

 

エレベーターのドアが閉まり、上昇していくのを見送った後、

 

「7階だろ?途中で降りてどんすんだよ!?」

 

と言うわたしに友人は言いました。

 

「さっきの人、どこから乗ったんだ?」

 

「地下の駐車場から乗ったんじゃないの?」

 

「ここに地下はない・・・」

 

文章:百百太郎

 

画像提供元 https://visualhunt.com/f5/photo/36780553715/bcb393005d/

 

 

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