ある昼下がり。
とある小さな町の駐在所に、一人の男が飛び込んできた。
隣に住む親戚の家の様子がおかしいという。
警官は男に連れられて、そのお宅に向かった。
玄関に鍵はかけておらず、呼びかけても誰も出てこない。
昼間だというのに雨戸が閉められたままで、室内は真っ暗だ。
家族全員で出かけたにしても、その場合はいつも男に声を掛けていくのだという。
部屋に入ってみるが誰もいない。
光を入れようと雨戸をあけて、ギョッとなった。
父、母、長男、長女・・・。
庭先で家族全員が首を吊って死んでいたのだ。
警官はすぐに応援を呼んだ。
パトカーを出迎え、応援の警官を案内して、庭先に戻った時にさらにギョッとなった。
首吊り死体がひとつ増えていた。
それは親戚の男だった。
警官がパトカーを出迎えに行っている間に、その男も悲観して首を吊ってしまったと思われた。
しかし、不思議なことに他の家族同様その男の遺体も、死後1日は経過していると思われるほど硬直が進んでいたという。
文章:百百太郎
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