一か月前から彼女との破局、交通事故による全治一年の大怪我、会社からの解雇通知と立て続けに不幸に見舞われました。挙句の果てには母親の死亡が伝えられ、一緒に住んでいた家族を失うことになりました。
男は短期間の不幸に、ついに頭がおかしくなりました。病室にいるにもかかわらず、大声をあげてしまいます。
「俺はどうして不幸にならなければならないんだ。何か悪いことをしたのか」
男自身は気づいていませんが、不幸は必然だったのです。彼女は友達から奪い、交通事故も赤信号を無視したために起き、会社からの解雇通知は日常の業務態度の悪さからだったのです。母親の死亡についても、日常的に暴力をふるっていたために起きました。不幸の主人公を装っていますが、男は加害者だったに過ぎません。
会社で自由奔放に振る舞っていたため、男に恨みを持っている人間は少なくありませんでした。深夜の病室に忍び込み、男の生命維持装置の電源を切りました。発見が遅れた(病院関係者は気付かないりをした)ために、遂に天国へと旅立ってしまうことになりました。病院関係者は男の処遇に困惑しており、犯人の悪事は神が手を差し伸べられたかのように感じたことでしょう。自分たちの手を汚すことなく、邪魔者を処理出来たのですから。
日頃から人を大切にしていれば、このようなことにはならなかったでしょう。困ったときに誰かに助けてもらえない人間というのは、不幸になる運命から逃れることはできないのかもしれません。
文章:陰と陽