高熱にならないとインフルエンザにかからない。医者からある話を聞くまで、そのように思っていた。
実をいうと高熱にならなくとも、インフルエンザを発症することがあるようだ。成人のおおよそ20パーセント、高齢者では半数近くが平熱によるインフルエンザにかかっているとのデータもある。
人間が熱を上げるのは、病原体と戦うためであるといわれている。あえて高熱にすることで、ウイルスをやっつけていこうとする。病気にかかった当人は苦しさしか感じないけど、ある意味で必要な儀式といえるのかもしれない。
高齢になると免疫が弱っていくため、ウイルスと戦うことが難しくなる。それゆえ、インフルエンザにかかっても、熱が上昇しにくくなる。高熱を発症しないのは自分の身を守っているのではなく、敵と戦う力が残されていないという悲しい現実なのだ。
インフルエンザワクチンを打っていた場合も、熱が上がりにくくなるとのこと。身体を守るために行ったことが、発見を遅らせるのは皮肉かなと思ってしまう。
平熱だからといって慢心せず、体調が悪いと思ったら積極的に診察しよう。自分の身を守れるのは自分しかいない。
文章:陰と陽