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寝付けないので、ふらりと夜の散歩に出かけた時のこと。
向かい側の歩道に子連れの人影があった。
タクシーが通りかかるたびに、手を挙げて止めようとしているが、止まってくれない。
「先客がいるのか?」と思いながら、よくよく目を凝らして見ると、通りすぎるタクシーには「空車」の表示が。
それらが次々と子連れの人影を無視して、通り過ぎていくのだ。
一台のタクシーが、子連れの人影を通り過ぎた直後に停止し、別の男を乗せたのを見た時にようやく気付いた。
「無視してるんじゃない。見えてないんだ」と。
とある墓地の前の出来事である。
百百太郎