コラム

救急車のお世話になったときの障害。

つい最近、救急車のお世話になってしまいました……不甲斐ない。

しかしその際に少し悲しい思いをしたと言いますか、考えてしまうことがあったので綴ります。全て個人の意見です。

息絶え絶えながら救急車の中で配偶者や同居する家族がいるか尋ねられたので答えました。同性のパートナーがいる、と。

何かあった時のため緊急連絡先としてパートナーの電話番号等も紙媒体で持ち歩いていました。伝え、見せることはできました。そのため連絡をしてくれているのだと思い込んでいました。

救急車を呼ぶ前にパートナーへ軽く連絡はしたが、これできっと大丈夫……。半分意識を手放しました。

なんやかんやを経て、病院を出ると……パートナーからのおぞましい数のメッセージや着信履歴が……!声はしゃがれながらでしたが折り返し慌てて電話を返しました。後に話を聞き知りましたが……救急隊員さんも、病院の人たちも、誰もパートナーへ連絡はしてくれていませんでした。

そして、結婚していない恋人は同棲していても「赤の他人」扱いなので、緊急時に連絡を入れてくれない。

という、衝撃の事実を知りました。

結婚できないこの国で生きているので結婚という行為はすっかり諦めていたのですが、まさかこんなところに悲しい障害があると思ってもみませんでした。

しかし不思議なことに「事実婚」をしている男女はそれに当てはまらないらしいのです。

 

「事実婚」として認められる条件は複数あるものの、

・3年以上の夫婦同然の共同生活をしている(生計が別はNG)

・客観的な証拠があること(例:婚約指輪を受け取っている)

・お互いの両親が認めている

 

……等なのですが、少なくとも上記の3点は全て満たしています。ただ違うのは「同性のカップル」という点のみ。

素直に悲しくて涙が出ました。

認められたいわけではなく、祝福されたいわけではない。ただこの人と家族でいたいのに。そのつもりで生きているのに。

この人に万が一何かあったとき現状が変わらなければ、傍にいてあげることさえ叶わない。改めて当事者として思い知らされました。

同性愛を嫌悪されるお方の気持ちは分かります。

同性愛を認めない国の主張は理解できませんが。

考えすぎではありますが、この国を出なければ自分の望むものは手に入らないんだ。とまで思いました。

同性婚を認めなくとも同性愛者が異性愛者に変わるわけがないのに。ニュースを見ながら他人事のように話をしていた過去の自分に謎の憤りを感じました。そんな呑気言っている場合ではない、と。

自分は当事者、身近な問題なのだと……思い知りました。

大切な人になにかがあったとき、傍にいたいと思うのは当然でしょう。

愛する人が倒れたときになにかをしたいと思うのは普通でしょう。

昔、パートナーが倒れたときに早退したいと上司に告げたら苦い顔をされた過去を思い出します。それがあなたの妻だったら?愛娘だったら?

咄嗟に言葉になりそうな口を慌てて閉ざしていました。

認められなくてもいいや、そんな諦めかけていた気持ちに僅かな変化が生じました。

こんな気持ちにもうなりたくない。こんな気持ちになる人が他にもいるなら変わってほしい。届かない想いではあるものの、結婚する!とまでは願いませんが、

大切な時に、大切な人の傍にいられる世界になってほしいです。

そんな世界に近づくために、小さな自分に出来ることって……なんだろう。

 

文章:小崎

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