目が覚めれば、どうってことのない一日が始まっていた。
俺は、煙草に火をつけて、大きく息を吐いた。
また一日の始まりが来たのかとうんざりしたが、これはどうにもならないことだと、俺はあきらめにも似たため息をついた。
「さあ仕事に行こうか」と身支度をすませて、ドアを開けようとした。
廊下に出て外を見ると、暗かったので、俺は、時計を見た。ちょうど午前零時を指していた。
そう、俺はずっと夜勤で、警備の仕事をしていたのだ。
ここは、病院の中だ。
俺の警備は、死体を扱う部署だった。
やけに今夜は冷えるなと思って、身震いしたが、死人がいるので心まで冷えるのかなと思い、首をすくめた。
この室内はかなり広い。そして暗いのだ。
この部屋の灯りは薄暗い。
ガタッと何かが落ちるような音がして、一瞬俺の顔から血の気が引いた。
俺の他には誰もいないはずなのにと思いながら、「誰だ?」と、俺はひきつる顔をしながら、言葉を発してライトを向けた。
ネズミだった。
こんな所にネズミがいたとは。
「そんな馬鹿な」
ここは確か病院の死体置き場のはず。
俺は思い出した。
俺も誰かに殺されてこの部屋で、安置されていたのだったと。
南無三。
文章:シャーペン
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