サスペンス・ホラー

目が覚めれば

目が覚めれば、どうってことのない一日が始まっていた。

俺は、煙草に火をつけて、大きく息を吐いた。

また一日の始まりが来たのかとうんざりしたが、これはどうにもならないことだと、俺はあきらめにも似たため息をついた。

「さあ仕事に行こうか」と身支度をすませて、ドアを開けようとした。

廊下に出て外を見ると、暗かったので、俺は、時計を見た。ちょうど午前零時を指していた。

そう、俺はずっと夜勤で、警備の仕事をしていたのだ。

ここは、病院の中だ。

俺の警備は、死体を扱う部署だった。

やけに今夜は冷えるなと思って、身震いしたが、死人がいるので心まで冷えるのかなと思い、首をすくめた。

この室内はかなり広い。そして暗いのだ。

この部屋の灯りは薄暗い。

ガタッと何かが落ちるような音がして、一瞬俺の顔から血の気が引いた。

俺の他には誰もいないはずなのにと思いながら、「誰だ?」と、俺はひきつる顔をしながら、言葉を発してライトを向けた。

ネズミだった。

こんな所にネズミがいたとは。

「そんな馬鹿な」

ここは確か病院の死体置き場のはず。

俺は思い出した。

俺も誰かに殺されてこの部屋で、安置されていたのだったと。

南無三。

 

文章:シャーペン

 

画像提供元:

https://foter.com/d/d.php?f=https%3A%2F%2Flive.staticflickr.com%2F4340%2F36484525666_5db80a9722_c.jpg&s=500d3c305ff9af45db64cfb8c1f3f479

関連記事

  1. 怖い話『飛んでいるもの』
  2. 怖い話『砂山』
  3. 怖い話『死んだのですか?』
  4. 怖い話『わたしも食べたい』
  5. 怖い話『手が届かない』
  6. 怖い話『倒れている人』
  7. 怖い話『ジョギングコースの自転車』
  8. 怖い話『そうですって言っていたら・・・?』

おすすめ記事

平熱であってもインフルエンザにかかる

 高熱にならないとインフルエンザにかからない。医者からある話を聞くまで、そのように思…

選抜2021の明治神宮枠をどのように扱うのか

 高校野球の選抜には明治神宮枠があります。明治神宮大会で優勝した地域に、一枠を与える…

感染症予防対策のため、通院せず電話診察を行った

 2020年4月より、感染症対策の一貫として電話による診察も可能となりました。&…

甲子園へ向けてのリスタート

  夏の高校野球が終わると、三年生が野球部を引退する。部に残った一、二年生で新チーム…

気づき

人は、気づきが得られれば、どこまでも成長できると思う。…

新着記事

PAGE TOP