コラム

エッセイ:『さもしい世の中』

 

ラーメン屋さんで、二人客がひとつしかラーメンを頼まなかったことを嘆く店主のツイートが話題になりました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/a52978d9ba23bee1d9283d6a91b0215dc03120a8

 

 

二人客の片方は食べないと言い、子供客や多くは食べられない人に配慮する店主は二人を客として迎え入れました。

 

しかし、堂々と一人前のラーメンをシェアし始めた二人に、店主は憤ります。

 

客単価や回転数、席の機会損失などを考え、店主に同情する声が多くあがりました。

 

「一杯のかけそば」の話を持ち出して、現代ではそんな話は通用しないのかと嘆く声もありました。

 

ラーメン屋の席に座ったら一杯注文するのが当然だということを常識ととらえる向きと、じゃあ店に貼り紙でもしておいてくれという考えの人も現れました。

 

この話題で盛り上がるネットを見ると、この二人客や店主のことよりも、この盛り上がりという現象に「今の世の中」を感じたのです。

 

しっかりとコミュニケーションをとればいいだけなのに、細かなことで争ったり議論したりする、さもしさのことです。

 

シェアする客、嘆く店主、この話題で盛り上がる世間、そしてこの話をここで持ち出すわたくしことくまちゃ、すべてがすべて「さもしい」のです。

 

さもしさみたいなものが今の世の中のデフォルトに完全になってしまって、そのことも意識しにくくなっているなぁ、と感じます。

 

そして、当分の間、いや、あるいはこの先ずっと、さもしい世の中であり続けるような空恐ろしい感覚に囚われてしまいそうになるんです。

 

 

文章:増何臍阿

 

画像提供元 https://visualhunt.com/f7/photo/21871240164/5a2c46aa8a/

 

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