ある暑い夏の日の午後。
買い物の途中で、人通りの多い道端に、仰向けに倒れている人を見かけました。
日傘をさしたおばさんがひとり、その人の顔を覗き込んでいるだけで、他の人は知らんふりして通り過ぎていきます。
「熱中症かな?まあ、誰か救急車呼んでるだろ」
そう思い、その場を離れました。
買い物を済ませ同じ場所に戻ってくると、倒れてる人はすでにいませんでした。
「サイレンの音しなかったけど、救急車きたのかな?」
と、思いながらその場をしげしげと見ていると、人が近づいてきました。
さっきの日傘をさしたおばさんでした。
日傘のおばさんは、わたしに話しかけてきました。
「あんたも見えていたの?」
文章:百百太郎
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