「ただいまー」と帰宅すると奥の台所から母親の声で、
「お風呂沸いたから、入りなさい」
まだ夕方にもなっていないのに、変だと思いながらも、夏場で汗をかいていたわたしは言われるまま、風呂場に向かった。
床に濡れた足痕が点々と続いていた。
「お母さん、ちゃんと足拭きなよ。床びしょびしょだよ」
などと文句を言いながら、衣服を脱ぎシャワーで汗を流して、いざ湯船に入ろうとすると水だった。
風呂場を出た。
「お母さん、お風呂、水じゃん」とさっき声がした台所へ向かった。
しかし、そこには誰もいなかった。
台所どころか、家のどこにも誰もいなかった。
そこに丁度、母が買い物から帰ってきた。おろおろしているわたしを見て言った。
「あんた、昼間から裸で何やってるの!?」
文章:陰と陽
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