ある日公園で、その場にいた子供たちでオニゴッコをすることになった。
メンバーは5人、見つけられた人もオニになって他者を捕まえにいく、いわゆる地域ルール。
普段は遊ばない、顔を見知っている程度の子もいる。
そんな中でオニゴッコがはじまった。
公園横の古い木造アパートの前を通りかかると、上の方から
「早く見つけてよ」
と声がした。
見上げるとガラス窓の人影が奥に引っ込んでいった。
わたしはその中に入ろうと玄関口に向かった。
そこは、誰も侵入できないよう、扉に板が打ち付けられて封鎖されていた。
裏に非常階段に回り込んでみると、そこも有刺鉄線が張り巡らされて入るのは無理だ。
『さっきの子、どうやって入ったんだ?』
とその場で右往左往しているところに、
「おーい」と呼ばれた。
公園に戻って見ると、そこにみんな集まっていた。
あのアパートにいたのは誰で、どうやってそこに入ったのだろう?
そもそも生きている人だったのだろうか?
文章:百百太郎
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