サスペンス・ホラー

怖い話『早く見つけてよ』

 

ある日公園で、その場にいた子供たちでオニゴッコをすることになった。

メンバーは5人、見つけられた人もオニになって他者を捕まえにいく、いわゆる地域ルール。

普段は遊ばない、顔を見知っている程度の子もいる。

そんな中でオニゴッコがはじまった。

 

公園横の古い木造アパートの前を通りかかると、上の方から

「早く見つけてよ」

と声がした。

見上げるとガラス窓の人影が奥に引っ込んでいった。

 

わたしはその中に入ろうと玄関口に向かった。

そこは、誰も侵入できないよう、扉に板が打ち付けられて封鎖されていた。

裏に非常階段に回り込んでみると、そこも有刺鉄線が張り巡らされて入るのは無理だ。

『さっきの子、どうやって入ったんだ?』

とその場で右往左往しているところに、

「おーい」と呼ばれた。

公園に戻って見ると、そこにみんな集まっていた。

 

あのアパートにいたのは誰で、どうやってそこに入ったのだろう?

そもそも生きている人だったのだろうか?

 

 

文章:百百太郎

 

画像提供元 https://farm8.static.flickr.com/7864/47234266122_65f40584bf_c.jpg

 

関連記事

  1. ホラー:「光の消えたお化け屋敷」
  2. 怖い話『雪の朝』
  3. 怖い話『わたしの部屋はどこ?』
  4. 怖い話:『お見送り』
  5. 怖い話『バタバタバタ』
  6. 怖い話『もうひとりいたはず』
  7. 怖い話『ごめんね』
  8. 怖い話『夜中の出来事』

おすすめ記事

怖い話『深夜のコンビニバイト』

大学の先輩が深夜のコンビニバイトを始めた。わたしは買い物にかこつ…

エッセイ:『確かなものを求めて』

不安をどうしたらいいのだろう、と考えることがあります。生きていく…

怖い話『取りに来て』

友人の家を出て、しばらくしてから忘れ物したことに気付きました。引き返しながら電話…

怖い話:『転校初日の出来事』

出典:Photo credit: Editor B on VisualHunt親の仕事の都合で、…

男性の高齢者は幸せを感じにくい?

男性の高齢者は幸福を感じにくいということは、各種のリサーチで明らかになっています。わたし(筆者)…

新着記事

PAGE TOP