竹田青嗣著『現代思想の冒険』(ちくま学芸文庫)
難解な近現代思想を、とても分かりやすい文章で読み解いてくれる本書。
大変読みやすいので、哲学や思想の入門にぴったりです。
哲学の本を読み終わって、「結局どういうことが書かれていたのか」よくわからないということがよくありました。
それは、その著者がどういうことを目指して書いているのか、どういった時代の状況なり思想の状況があっての考えなのか、といったことがわからなかったからでした。
本書では、先駆者の業績をもとにして、その後をついだ思想家がどのようにそれを発展させていったのか、社会にとってどんな意味をもつのかといったことがよくわかるように書かれています。
本書の著者である竹田先生は、小難しい表現を使うことなく、わたしのような素人にも飲み込めるように導いていってくれます。
個人的には、ボードリヤールに関する部分で謎が解けたような感覚をおぼえたのが嬉しいことでした。
本書の出版年は80年代中ごろであり、その後の思想史については追えませんが、近現代の思想の流れをある程度の見通しをもってみることはできる点で、まだまだ価値は失われていない本だと思います。
文章:増何臍阿