コラム

前野隆司著『実践ポジティブ心理学』のまとめ【第六回】

はじめに

 

「ポジティブ心理学」は、90年代にアメリカ心理学会の会長であったマーティン・セリグマン氏が提唱したもので、海外の学会でも大きな話題となり、ハーバードなどの講義でも人気になっているといいます。

 

ポジティブ心理学は、それまでの臨床心理学のように心の病を対象とするのではなく、普通の人が「どうすればもっと幸せになれるのか」を追求する分野です。

「マインドフルネス」「レジリエンス」もポジティブ心理学の重要なキーワードです。

 

基本的には普通の健康状態にある人向けですが、著者は、心の病にかかっている人も生きるヒントを得られると言っています。

 

第六回は、「実践のためのハッピーエクササイズ」ということで、第五章のまとめです。

 

 

実践のためのハッピーエクササイズ

 

この章では、ポジティブ心理学の知識を実行にうつすための実践方法(エクササイズ)が紹介されています。

 

一番有名なものとして、「three good things」というエクササイズがあります。

これは、毎晩寝る前に、その日あった『三つの良いこと』を書き出す、というものです。

 

セリグマンは、このエクササイズをうつ状態の人に試しました。すると、一週間続けるとその後半年間にわたって幸福度が向上するという結果を得ました。

 

うつ状態でない普通の状態のひとにも、これは良い効果があるのではないかと考えたセリグマン。すると、同じように幸福度が上がったのです。

 

「三つの良いこと」を書き出すことには、嫌な出来事に対する認知を変える力があります。

 

ひとは、一日を終えて今日あった嫌なことに焦点をあててしまい、そのことで頭がいっぱいになってしまう傾向があります。

 

「良かったこと」を書き出すことで、それをもとにして一日を良いほうに見直すことができます。そして、自分を客観視することにつながり、自分の変化や進歩に気づき、心にフィードバックをえることができるのです。

 

「良かったこと」というのはそんなに大きなことやめずらしいことでなくてもよくて、

「今日飲んだコーヒーがおいしかった」「晴天で気持ちがよかった」など、些細なことでいいと言います。

 

そんなにいいことがでてこないよ、という人でも、毎日続けていると一日の中で起こる良いことに目が向くようになっていきます。すると、良いことを楽しむ力がだんだん増えていくのです。

もし何もいいことがなくても、とくに何もない「普通の瞬間」があれば、それを書きとめておくといいと、著者は言います。

 

寝る前にこれを行うことが大切です。終わり良ければ総て良し、といいますが、就寝直前にこのエクササイズをすることで、一日ぜんたいが良かったものとして残るからです。

 

また著者は、「笑顔でいること」「上を向いて歩くこと」をすすめています。

気分が落ち込んでいるとなかなかできませんが、気分が落ち込んでいるからできない、と考えるのではなく、そうすることで気分が上向く、と考えるのです。

「楽しいから笑う」ではなく、「笑うから楽しい」と考えます。そうすることで、気分が上向いてきます。

 

また、「引き算」をしてみる、ということも紹介されています。

これは、ふだん当然のようにあるものを無くしてみて、自分の特徴を振り返ったり、ありがたみを再確認することに意味があります。

 

たとえば、右手に包帯を巻いて一日を過ごしてみたり、靴を履かずに一日過ごす。

何かを無いものとして一日を過ごすことで、それがあることが自分にとってどんな意味があるのかを知り、フィードバックが得られ、感謝の気持ちを持つことができます。

 

前回にも出てきましたが、「感謝の気持ちをもつ」ということが、ポジティブ心理学においては重要なことであるとされています。

日々感謝の気持ちを持ち、身近な大切な人にそれを伝えることが、ひいては幸せにつながると、著者は言います。

 

 

文章:増何臍阿

 

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