コラム

前野隆司著『実践ポジティブ心理学』のまとめ【第三回】

前野隆司著『実践ポジティブ心理学』のまとめ【第三回】

 

はじめに

 

「ポジティブ心理学」は、90年代にアメリカ心理学会の会長であったマーティン・セリグマン氏が提唱したもので、海外の学会でも大きな話題となり、ハーバードなどの講義でも人気になっているといいます。

 

ポジティブ心理学は、それまでの臨床心理学のように心の病を対象とするのではなく、普通の人が「どうすればもっと幸せになれるのか」を追求する分野です。

「マインドフルネス」「レジリエンス」もポジティブ心理学の重要なキーワードです。

 

基本的には普通の健康状態にある人向けですが、著者は、心の病にかかっている人も生きるヒントを得られると言っています。

 

第三回は、「レジリエンスを高めるには」ということで、第二章の後半部分をご紹介します。

 

レジリンエスを高めるには

 

イローナ・ボニウェルは近年注目のポジティブ心理学研究者です。

ヨーロッパにおけるポジティブ心理学の普及と発展においてパイオニア的な役割をはたしてきました。

 

ここでは、ボニウェルが開発した「SPARK(スパーク)レジリエンス・プログラム」について紹介します。

 

レジリエンスは、困難に直面して強いストレスをかんじたときに働く心理的プロセスで、ストレスからの自発的な治癒力を意味します。

レジリエンスが高いと、ストレスを感じてもすぐに立ち直ることができ、前向きな気持ちになることができます。

 

SPARKレジリエンス・プログラムは、何かの出来事が起きたとき、それをどのように捉え、どんな感情をいだき、どのような思考パターンをとり、結果どう行動してそこから何を学ぶのかを示したものです。

 

Situation・・・出来事そのもの

Perception・・・出来事に対する捉え方<七つのオウム>

Auto Pilot・・・自動的に生ずる感情

Reaction・・・反応と行動

Knowledge・・・捉え方のパターンと、それに伴う感情・行動についての学び

 

AutoPilotというのは自動的に芽生える感情のことで、普段から「自分は好かれていない」と考えている人だと、待ち合わせに友人が遅れてきたときに、「自分が悪いからだ」と考えてしまうなど、解釈によって自分の中でどんな感情が自動的に生まれてくるかを把握すること

を意味します。

 

捉え方のパターンとして、「心に潜む七つのオウム」をイメージする方法が紹介されています。

 

批判オウム、正義オウム、負けオウム、あきらめオウム、心配オウム、謝りオウム、無関心オウムの七つです。

 

例えば「批判オウム」では、何かが起きたとき、他人を非難しがちで、ものごとを極端に考え、白黒をはっきりさせたがるので周囲に不満をもちやすいです。

 

「心配オウム」では、将来に対して悲観的で、何かうまくいかないと、あらゆることがうまくいかないのではないかと心配してしまいます。

 

この七つのオウムのうち、自分がどのオウムを飼っているのか、そのことを意識して、Knowledgeでその状況から何を学んだかを理解します。自分がどういった傾向をもっているかを意識して、修正をする。そうしてフィードバックするのです。

 

このサイクルを繰り返すことで、自分の考え方を柔軟にしたり、次の四つのレジリエンス・マッスルを鍛えることができます。

 

~四つのレジリエンス・マッスル~

 

I can

I have

I like

I am

 

過去に経験した困難な状況を思い出し、どのように乗り越えたか、学んだことを思い出し(I can)、自分の友人やお世話になったひとなどサポーターとなってくれる人を思い出し(I have)、自分の大切な人の写真や楽しかったことを考え(I like),自分の強みを考えてみる(I am)というものです。

 

こうした四つのものを繰り返し繰り返しやることで、心をポジティブな方向へと持っていくことができるのです。

 

文章:増何臍阿

 

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