サスペンス・ホラー

怖い話『お迎えにあがりました』

 

玄関チャイムが鳴った。
ハーイと返事をすると、ドアの向こうから、

「お迎えにあがりました」

という声。

「え、何ですか?」

「こちら倉本さんのお宅ですよね」

という。

倉本さんは同じ団地の別棟の住人だ。
呼ばれたタクシーとかが、お宅を間違えてるなと思い、

「倉本さんなら2号棟ですよ」

と教えてあげたが、

「とりあえずドア開けてもらえませんか?」

– え、何で?! -

「イヤです」

そんなやり取りをしばらくあったあと、相手は帰っていった。

翌日、2号棟の倉本さんのおじいさんが亡くなられたという、知らせを受けた。

急性の病気で突然倒れたということだったが、お迎えってあっちのお迎えってことでは?と思うとゾクッとした。

あの時、ドア開けてたらどうなってたんだろ?
このことがあるまでは時々、換気のためドアや窓を開け放していることがある。
それ以来、ドアはいつも閉じておくようにしている。

 

文章:百百太郎

 

画像提供元 https://visualhunt.com/f7/photo/227087038/cc2f3bd166/

 

関連記事

  1. 怖い話『夢の中……。』
  2. 怖い話『2位だよ』
  3. 怖い話『ボスママの眼』
  4. 怖い話『家の中のかくれんぼ』
  5. 怖い話『二階の子供』
  6. 怖い話:『走る男の子』
  7. 怖い話『電話が鳴った』
  8. 『罪』

おすすめ記事

他人を軽視するのはよそう

自身の尊厳を冒されるのは誰にとってもいやであると思います。そうであれば、他人の尊厳も尊重して…

『若いからって…』―若くてもって言葉が心を追い込む―

若いから…まだ何でもできるって言われる度に……

ベンゼマのハットトリックで大逆転勝利!!

 胸が熱いです!UEFAチャンピオンズリーグ21-22シーズン決勝トーナメン…

年収204万以上であった場合、就労定着支援も利用料がかかる

 就労移行支援、A型作業所、B型作業所は前年度の収入により、負担が生じることを知って…

感謝の心を持ちたい

感謝の気持ちを持ちたい。皆さんは、毎日生活していると…

新着記事

PAGE TOP