サスペンス・ホラー

怖い話『もう一人の住人』

 

わたしがまだ幼稚園に通う前の幼い頃。

夕方、家に帰ると、玄関に知らないおじさんがドカッと座っていた。

 

― お客さんかな? ―

 

家に入ろうにも場所を空けてくれそうにないし、さっきから怖い顔で睨みつけている。

わたしはすぐに帰るだろうと、玄関先に出しっぱなしにしていたおもちゃで時間を潰していた。

おじさんがなかなか帰ろうとしないまま、陽も沈んで暗くなってきた。

2階の窓から、

 

「そろそろ家に入りや」

 

などと祖母が声を掛ける。

 

仕方なくわたしはおじさんの横のわずかな隙間を通って家の中に入った。

その間も

 

― 俺に触れたら承知しないぞ ―

 

と怖い空気を醸し出している。

 

その後、お風呂で祖父に、

 

「さっき玄関にいた人、誰?」

 

と聞いてみた。

背広を着た怖い顔のと、特長を言うと、祖父は言った。

 

「うちにあんな人、こんな人おるって人に言うんやないぞ!」

 

文章:百百太郎

 

画像提供元 https://visualhunt.com/f7/photo/9521922267/2b5153cac4/

 

関連記事

  1. 怖い話『地域ルール』
  2. 怖い話『おじいさんが寝てるんや』
  3. 怖い話『守る人』
  4. 怖い話『石を投げたら』
  5. 怖い話『泣く傘』
  6. 怖い話『のぞく子供』
  7. 怖い話『物が無くなる部屋』
  8. 怖い話:『13階』

おすすめ記事

【ジャンガリアンハムスターとそれぞれの違い】

ハムスターの中でもトップの人気をもつジャンガリアン。小さな体で大人しい個体が多い…

障碍者施設で長続きする人、すぐにやめてしまう人

 障碍者施設で長続きする人、長続きしない人についてあげていきます。…

人間の限界

果たして人間の能力には、限界があるのだろうか?これ以…

変則将棋を楽しんでみよう

 変則将棋として王手将棋が挙げられる。 基本的な将棋では王を詰ませば勝利となるの…

怖い話:『止まらないタクシー』

https://farm1.static.flickr.com/714/23251570769_2f…

新着記事

PAGE TOP