男性にも更年期障害がある
はじめに
更年期障害と言えば女性特有のものと思われがちですが、近年、男性の更年期障害が取り沙汰されているようになっています。
男性の更年期障害についてまとめてみました。
患者について
男性の更年期障害は、早ければ40代から症状が出ます。
国内ではおよそ600万人の男性が更年期障害の患者がいると言われています。
原因と症状
男性の更年期障害の原因は男性ホルモンのテストステロンの減少とみられています
テストステロンは主に男性の睾丸で作られるのですが、この働きが悪くなって、心、体、性機能に障害が出ることが知られています。
歴史
世界的に厳密な診断基準はまだ確立されておらず、近年の高齢化社会を迎えるにあたり、診断基準の確立のための検討が待たれる状況です。
診断方法
既存の診断方法は、血中のテストステロン値とAMSスコアという質問表で問診して、他の疾患やその影響を注意深く除外した上で決められます。
テストステロンの減少により心と体と性機能に障害が出ることから、男性の更年期障害は、正式には「加齢男性性腺機能低下症候群」(LOH症候群)と病名が付きます
治療
治療方法はアンドロゲン補充療法が行われます。
アンドロゲンとは男性ホルモンの総称で副腎と精巣でコレステロールから合成されます。
その内の主要なものがテストステロンで95%以上が精巣で作られます。
そのアンドロゲンを物理的に補充しようというのが治療方法です。
方法としては注射、塗り薬、飲み薬の3つがありますがいずれも医師の処方によって出されます。
リスクもある
ただし考慮すべきリスクもあり、多くの臓器、組織に作用するステロイドホルモンなので、心血管系疾患、脂質代謝異常、多血症、体液貯留、前立腺肥大症、前立腺癌、肝毒性、睡眠時無呼吸症候群、女性化乳房、にきび、精巣委縮、不妊、行動・気分の変化など副作用の注意が必要です
まとめ
最後にAMSスコアを引用しますのでセルフチェックしてみて男性の更年期障害を疑われる方は、男性の更年期障害の専門の外来か、泌尿器科、内科などで診察を受けてみるのもよいかもしれません
AMSスコア
- 総合的に調子が思わしくない(健康状態、本人自身の感じ方)
- 関節や筋肉の痛み(腰痛、関節痛、手足の痛み、背中の痛み)
- ひどい発汗(おもいがけず突然汗が出る、緊張や運動と関係なくほてる)
- 睡眠の悩み(寝つきが悪い、ぐっすり眠れない、寝起きが早く疲れが取れない、浅い睡眠、眠れない)
- よく眠くなる、しばしば疲れを感じる
- いらいらする(あたり散らす、ささいなことにすぐ腹を立てる、不機嫌になる)
- 神経質になった(緊張しやすい、精神的に落ち着かない、じっとしていられない)
- 不安感(パニック状態になる)
- からだの疲労や行動力の減退(全般的な行動力の低下、活動の減少、余暇活動に興味がない、達成感がない、自分をせかさないとなにもしない)
- 筋力の低下
- 憂うつな気分(落ち込み、悲しい、涙もろい、意欲がわかない、気分のむら、無用感)
- “絶頂期は過ぎた”と感じる
- “力尽きた”、“どん底にいる”と感じる
- ひげの伸びが遅くなった
- 性的能力の衰え
- 早朝勃起の回数の減少
- 性欲の低下(セックスが楽しくない、性交の欲求が起きない)
- 各項目を、「ない」1点、「軽い」2点、「中程度」3点、「重い」4点、「きわめて重い」5点で集計する。
※合計26点以下は正常、27~36は軽度の症状。37~49は中等度の症状、50以上は重傷と判断される。
文章:drachan
画像提供元 https://www.pexels.com/ja-jp/photo/977971/