コラム

リンダ ポルマン『クライシス・キャラバン―紛争地における人道援助の真実』東洋経済新報社

 

リンダ ポルマン『クライシス・キャラバン―紛争地における人道援助の真実』

 

1980年代頃までだったでしょうか。

その当時、発展途上国と呼ばれた国は、「緑の革命」を経て、品種改良や化学肥料の導入などにより、穀物の収穫量が飛躍的に増大しました。

 

果たして「緑の革命」の恩恵を受けた国は、その後、他国に依存しない、所謂自立した国家へ進展したのでしょうか。既に周知のように答えは否です。

ちなみに品種改良された種はハイブリッド種と呼ばれており、その種を使うと生産量が劇的に増加する半面、一旦それを購入した農家はハイブリッド種を使い続けることになります。

やがて、その種を大手グローバル企業が独占するという仕組みが構築されていきました。

 

リンダ・ポルマン『クライス・キャラバン』東洋経済 は、紛争地における人道援助がもたらす人災という、一見逆説風に見える観点から真実を照らし出そうとするルポルタージュ作品です。

 

資金調達する際に、現地での凄惨な映像や画像を利用し、視聴者の倫理面な側面に働きかけて寄付金を募ります。そうした寄付金が、本当に有効利用されているか否か?

 

たとえば援助機関(赤十字)には、「助けられる人は誰でも助ける。」という原理原則があるとのことですが、それに従えば、虐殺をした現地人が難民の中にいても問われることはなく、中立性や公平性に照らし合わせて援助を受けられるようでした。

ちなみに、本書では、こうした援助について、「倫理的厄災」と呼んでいました。

 

文章:justice

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