詩・ポエム

詩:『名もない日々』

 

朝から晩まで働いていたころの話だが

深夜、腹を空かせて海苔弁当を買って帰る

明かりを点け、冷え切った自室を温めるために

エアコンのスイッチを入れる

電子レンジに海苔弁当を入れて温める

 

かじかむ手で湯を沸かし、ティーバッグ式の茶を湯飲みに入れる

電子レンジが鳴り、海苔弁当を取り出す

 

疲労困憊で、寒さと眠気と空腹がないまぜの気持ちのまま

着替えもせずに箸を持ち海苔のかかった米飯に箸を突き立てる

白い暖かな湯気が立ち上がる

 

ザクッと白身フライを噛む瞬間

タルタルソースの甘味が口の中を広がり

恍惚とした気分になる

急いで米飯を掻き込む

 

濃い味付けが疲労を吹き飛ばしてくれる気がして

食欲にまかせたまま次から次へ箸を口へ運ぶ

メインディッシュは熱々の白身魚のフライだ

ちくわの磯辺揚げ、オカカの混じった飯、きんぴらの和え物

 

飲み込むように弁当を平らげる

流し込むように湯飲みの茶を飲む。

弁当の空き容器もそのままにごろりと横になる

 

部屋も体も暖まってきて、食欲が満たされ、眠気に吸い込まれるがまま

泥のように眠る

 

時間は深夜1時。明日は朝6時出勤の日々

その日暮らしでも食欲を満たして休息と睡眠さえ取れれば

それで満足だった

 

文章:drachan

 

画像提供元 https://www.pexels.com/ja-jp/photo/6148367/

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