コラム

終わらないコンテンツ

 

 

アマゾンプライムやネットフリックスなどのサブスクリプションは、その利用者が一生をかけても観終わらないほどの膨大な量のコンテンツを内蔵している。

 

これは、そんなにたくさんあっても観ることはできないというナンセンスを露呈している。

 

ナンセンスというのは、品揃えの豊富さが消費者の欲望がまったく追いつかないほどに高まることで、消費者にとって意味を欠いたものになってしまったということだ。

 

これだけのコンテンツを提供しなければならないのは、人間がかつてなく退屈していて、とにかく暇つぶしを必要としており、根源的に意味を欠いた世界で生きるむなしさを埋め合わせなければならないからである。

 

世界で人類が生きてきた歴史を「コンテンツ」としてあらためて捉えてみれば、それを必要とした神様というのは、恐ろしいまでの倦怠を内に持った、無限の悲しみにくれた存在なのではないか。

 

歴史というコンテンツが終わることがないのは、すでに終わってしまったがゆえになお終わることなどできないからである。

それが、永遠に終わりつづけるということなのだろう。

 

世界の歴史は、無限の悲に沈む神の慰めであり、それはけして終わることなく終わりつづける。

 

文章:増何臍阿

 

画像提供元 https://visualhunt.com/f7/photo/30379409616/e7d62b77e2/

 

関連記事

  1. アイザィア・バーリン『自由論』
  2. なあなあ、本読まへん?
  3. ショートショート『夕食は鍋』
  4. ショートショート『心を満たす人』
  5. 頭が回らない時
  6. 鳩を轢き殺した男が逮捕された
  7. 物語の一巻目を簡単に解説! 第四回【Rosen Blood】
  8. 救急車のお世話になったときの障害。

おすすめ記事

2021年4月6日の「阪神ー巨人戦」で、珍しいタイミングでコールドゲームとなった

 2021年4月6日の阪神-巨人戦は、7回裏が終わった時点でコールドゲームになりまし…

【尼崎の歴史発掘】大正浪漫の面影を今なお残す『旧尼崎警察署』紹介

 【尼崎の歴史発掘】大正浪漫の面影を今なお残す『旧尼崎警察署』紹介「旧尼…

「ノーベル賞」と「ダイナマイト」の関係

ノーベルが「ダイナマイト」を発明ご存知の方も多いかと思いますが、…

激甚災害とは?

8月28日、九州北部(佐賀県・福岡県・長崎県)に大雨特別警報が発表された。これを…

人の痛みのわかる人に

人を大切にしていきたい。自分を大切にできる人は、心の…

新着記事

PAGE TOP